361話 ページ12
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ターゲットの部屋に入ると、すぐにジャケットを脱いだ。
『すみません、わざわざ…』
するりと自らタイを外す。
「…随分積極的だね」
『…?新しいお洋服、貸してくださるんですよね?』
首を傾げて、純粋を演じる。
「はは、初心なんだね、可愛い」
ターゲットは俺に近づき、首元に顔をうずめる。
『ぁ…っ、あの…っ』
気持ちの悪い感触を首元に感じながらも、ドレッサーの上に端末が置いてあるのを確認する。
あとは窓際にこの男を誘導して、端末を回収すれば…、と頭の中で計画を立てるが…。
『わ…っ!』
興奮状態のターゲットにベッドに押し倒された。
ブチブチッとシャツを引き裂かれボタンが飛び散る。
『あ、の、ちょっと待っ――…』
「はぁ、可愛いね、君…。もう待てないよ…」
荒い息を繰り返して、俺の上に跨りながら服を脱ぎ始めるターゲット。
この変態親父が…、と内心舌打ちしながら、この興奮状態では窓際に誘導するのは厳しいと頭の隅で考えていると、カチャカチャとベルトを外す音が聞こえた。
『っ…!』
ターゲットの手が、俺のベルトを外している。
まぁ、これくらいは昔やっていたことだ。
こうやって体を使って情報を引き出すこともあったし、それ以前にも――…。
でも、今は、…あの人以外とそういうことをするつもりはない。
窓際に誘導し、ライに始末させることは不可能。
そうなると、俺に出来ることは――…。
腰に隠し持っていた拳銃を取り出し、ターゲットの腹部に突きつける。
「な…っ、お前、まさか組織の――っ!?」
『俺の体を触っていいのは、今はもう、あの人だけなんだよ』
迷わず引き金を引いた。
「が、ぁ…っ!!い、痛ぃ…!!あああっ!!」
ベッドから転がり落ちたターゲットが痛みにもがき苦しんでいるのを見下ろして、ドレッサーの上の端末を手に取る。
隠し持っていた拳銃は、俺が愛用していたシグザウエルP230。
ここに来る前、スコッチさんがそっと返してくれたのだ。
もしかしたら、彼も勘付いていたのかもしれない。
ここでお別れだと。
痛みで気絶したらしい男の手を掴み、指紋を認証させると、端末のロックは簡単に外れた。
そのとき、部屋の扉も開く。
「動くな!」
バーボンが、怖い形相で俺に銃を向けていた。
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096 - 柳さん» いえいえ!こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2019年7月13日 14時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 096さん» なるほど、説明ありがとうございました!これからも頑張ってください (2019年7月12日 6時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 柳さん» 現生は、少し乱暴な現金の類語で、生の現金という意味です…!紛らわしい書き方をして申し訳ありません…!ご意見ありがとうございます! (2019年7月11日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 397話の「い、一回払い…しかも現生かい…」のところ、「現金」ではないでしょうか…?間違っていたら申し訳ございません (2019年7月10日 23時) (レス) id: 6c07f7b951 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 花奏さん» コメントとお祝いのお言葉ありがとうございます!内容をお褒め頂き、とても嬉しいです…!!お気遣いもありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年6月16日 21時