792話 紺青の拳 ページ43
『…結局こうなるのか』
がっくりと肩を落とし、これから起こるだろう事件に頭を抱える。
いや、でもそれを嘆くことより重要なことがある。
『…おい、キッド。俺から奪ったもの、返せ』
「ん?どれのことだ?スマホか?それともエアガン?名探偵と同じ秘密道具か?」
『とぼけんな。指輪だよ。俺の首にかかってたやつ』
「あー、はいはい。あれね。どこやったかなー…――いでででっ!?」
ふざけたことを言い出したキッドの頬を思いっきり抓る。
『今回のこと、あとで一発殴らせてくれたら協力はしてやる。前回の借りもあるからな。だがな、あれだけは返せ。じゃないと今すぐてめぇの正体ばらしてしょっぴいてやる。キッドに拉致られたって言えば、日本に帰る方法なんていくらでもあんだよ』
なにせ、俺には強い後ろ盾があるからな。
「ま、待て待て待て!わ、わかったから!返す返す!!」
脅しに怯んでか、キッドは顔面を蒼白にさせてあっけなく了承した。
まぁ、できもしない脅しだから冗談だけどさ。
……半分本気だったけど。
キッドの頬から手を離す。
「くそ…相変わらず敵に回すと怖ぇ…」
「今回のことは、オメーが悪いぜ、キッド…」
ざまぁみろ、と言わんばかりの表情で、コナンもキッドを見る。
「ほら、これ」
大人しく、キッドは指輪を俺に返す。
そのシルバーに傷がついていないことを確認して、ホッと胸を撫で下ろす。
『あと、あの人に連絡だけしたい。一瞬でいいからスマホ』
「へいへい、分かったよ」
仕方ない、といった様子でキッドは俺にスマホを渡した。
連絡がない、ということは、まだ家には帰ってきていないんだろう。
疲れて帰ってきたあの人を、出迎えてあげたかったのにな…。
それに、残してきたハロも心配だ。
“緊急の用事が出来ました。今は詳しくいえないけれど、あとでちゃんと話します。しばらく家に帰れそうにないし、連絡も取れそうにありません。忙しいときにごめん。帰ったら、ちゃんと休んでください。ハロのことも、頼みます”――と、こんな感じでいいかな。
メッセージを送信したとき、マーライオン広場が急に騒がしくなった。
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096 - ロマンス細胞さん» いえいえ!こちらこそこめんとありがとうございました!告白もありがとうございます(笑) (2020年2月13日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 096さん» 返信ありがとうございました!(´;ω;`)めっちゃ好きです←(突然) (2020年2月12日 22時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - ロマンス細胞さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!これからも頑張ります! (2020年2月12日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 最高です。これからも頑張ってください!!楽しみに読んでます。 (2020年2月12日 20時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 赤の他人さん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるように頑張りますね! (2020年2月10日 20時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2020年1月20日 21時