784話 ページ35
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【すまない。仕事がまだ長引きそうだ。ハロの世話を頼む】
そんなメールが来たのは金曜日の夜。
その文面を見下ろしながら、夜の米花町を歩く。
いつものことだ。
寂しくなんてない。
零さんが帰ってきたら、うんと甘えればいいんだから。
「こんばんは。お兄さん」
『っ!』
背後から聞こえた声に振り返る。
『…キッド』
真っ白な出で立ちの怪盗が、満月の下に立っていた。
『…気配消して近づくなんてどういうつもり?それに…』
キッドの腕の中で眠っている小さな子供に視線を移す。
「ご安心を。この少年には少し眠っていただいてるだけです。それより、事は急を要します。とりあえず、一緒に来てもらいますよ」
チクッと首筋に走った痛み。
『ッ…!』
体から力が抜け、その場に膝をつく。
『っ…キッド…ッ!何を…っ』
朦朧とする意識の中、こちらに近づき俺を見下ろすキッドを睨む。
「貴方のことだから、大抵の麻酔は効かないと思いまして。でも、これには免疫がありませんよね」
キッドが持っているのは、コナンが普段身につけている時計型麻酔銃だ。
「しかし、流石です。他の方々はすぐに眠りに落ちるのに、貴方はまだ意識を保っていられる。余程薬 物に耐性があるようですね」
確かに薬 物耐性はあるが、これでもギリギリ意識を保っているほうだ。
どんだけ強力な麻酔を持ち歩いてんだよ、あの子は…!
くそ…、視界が霞んできた…っ!
「大丈夫。悪いようにはしません」
『あと、で…っ、覚えてろよ…っ!』
悪役のような捨て台詞を残して、俺は意識を手放した。
「おやすみなさい。シンガポールで、またお会いしましょう」
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096 - ロマンス細胞さん» いえいえ!こちらこそこめんとありがとうございました!告白もありがとうございます(笑) (2020年2月13日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 096さん» 返信ありがとうございました!(´;ω;`)めっちゃ好きです←(突然) (2020年2月12日 22時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - ロマンス細胞さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!これからも頑張ります! (2020年2月12日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 最高です。これからも頑張ってください!!楽しみに読んでます。 (2020年2月12日 20時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 赤の他人さん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるように頑張りますね! (2020年2月10日 20時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2020年1月20日 21時