782話 ページ33
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『お疲れ様〜!』
キッドに下ろされたビルから出て、零さんとの待ち合わせの場所に向かった。
「このばか!また無茶したな!」
開口一番。
どこかから高校の屋上での一件を見ていたんだろう。
全部筒抜けのようだ。
『あー…、やっぱああいう場面では体が勝手に動いちゃうんだよね』
「…まさか、あの怪盗とも繋がりがあるとはな」
『いやいや、彼は偶然通りかかったんだって。ラッキーだったね』
キッドの小泉への言い訳をそのまま使わせてもらう。
「…はぁ。そういうことにしておく。……今回も協力感謝する。迅速に解決できたのはお前のおかげだ」
『…零さんだって、裏でいっぱい動いてたくせに』
潜入中でも、学校終わりにそのまま家に帰ってこない日もあった。
俺以上に、休む暇なく教師と捜査官を両立していたんだろうな。
もしかしたら、組織の仕事もあったかもしれない。
「今日はもう帰って休もう」
『え、零さんも帰れるの?』
「大体は1課に引き継いだからな。細かい事後処理は明日からするさ」
今日は2人でゆっくりできる。
そう思うだけで、疲れもすべて吹き飛んで、心が軽くなる。
「――そういえば、あんなにブチ切れたAは初めてだったな」
『え』
「お前の推理ショーも、心の底からのブス発言も、屋上前で待機していた警察官の無線から全部筒抜けだった」
『ぅわっ…!忘れて!』
零さんをバカにされて、ついカッとなってしまっただけなんだ。
この世界に来て、本気で怒ったことなんてなかった。
前の世界では、上の立場にいたこともあって今よりいろいろ乱暴ではあったけど…。
かといって、別に今猫を被っているわけではなく…実際零さん含め年上の人も多いし、下の子たちもしっかりしているから…尊敬しているわけで…。
『とっ…とにかく、事件も解決したし、早く帰ってご飯食べよ!明日からゆっくり寝られるなぁ!』
「…変なところで誤魔化すの下手だよな、お前は。…そういうのも全部含めて、好きだよ」
『………っ‼ここは外‼』
体中が熱くなるのを感じながらも、恥ずかしさを誤魔化すために零さんの先を歩く。
「車、そっちじゃなくてこっち」
『知ってるし!』
こんな、くだらないやり取りも…零さん相手だと幸せで――…。
月が姿を隠し、いつもより街が暗いのをいいことに、そっと彼の手に自分の手を重ね、身を寄せ合った。
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096 - ロマンス細胞さん» いえいえ!こちらこそこめんとありがとうございました!告白もありがとうございます(笑) (2020年2月13日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 096さん» 返信ありがとうございました!(´;ω;`)めっちゃ好きです←(突然) (2020年2月12日 22時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - ロマンス細胞さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!これからも頑張ります! (2020年2月12日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 最高です。これからも頑張ってください!!楽しみに読んでます。 (2020年2月12日 20時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 赤の他人さん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるように頑張りますね! (2020年2月10日 20時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2020年1月20日 21時