779話 ページ30
「…気づくのが遅かったわ。まさか黒瀬先生が警察関係者だなんて。やっぱりあの日、睡眠薬入りのワインをすり替えて私に飲ませ、家の中を物色したのね」
天野先生はヒールを鳴らして俺の方へ近寄ってきた。
「私も運がなかったわ。最後にこんな悪い男に手を出していたなんて。大人しく安室先生を落としておけばよかった」
『…は?』
思わず低い声が出た。
「隣の席だった私にはわかるわ。いつも端正な横顔が見えていたもの。女慣れしてないあの性格なら、楽勝だったのに」
何を言ってるんだ、この女は。
その欲にまみれた汚い視線で、ずっとあの人を見つめていた…?
あの人のこと、何も知らないくせに、何を知った気になって語ってるんだ。
『…残念だけど――…てめぇみたいな女に靡くわけねぇだろ、ブス』
あの人は…俺以外見ない。
「なっ…⁉」
俺の直球な言葉は、彼女のプライドを傷つけるには十分だったようで…。
感情のままに俺を殴ろうとしてきた彼女の腕を掴み、捻り上げるとその両腕を拘束した。
それと同時に警察がなだれ込んでくる。
「確保!」
刑事に抑え込まれ、暴れる天野。
言質は取れているし、あとは取り調べで大人しく吐くだろう。
「美幸さん!」
一件落着と思った矢先、響輝が叫んだ。
『!』
フェンスの向こうに飯田先生が立っていた。
今にも屋上から飛び降りようとしている。
「ごめんね、響輝…。でも、もうどうしたらいいか分からないの…」
『…飯田先生、落ち着いてください…!これからのことはしっかり警察と話して――』
「でも、殺してしまった人たちに謝りたいのよ…!私が、弱かったばかりに…!」
「そうよ!全部あんたのせい!あんたがもっとうまくやれば――…!」
押さえつけられながらも、懲りずに天野は飯田先生を煽った。
『チッ…』
どこまで性格の悪い女なんだ、と舌打ちをする。
しかし、追い詰められた飯田先生は目を閉じて体を後ろに傾けた。
「美幸さん‼」
響輝が叫ぶのと同時。
俺はフェンスを飛び越え、傾く体を屋上内へ引っ張り上げる。
『早く押さえて‼』
警察にそう叫びながら、引き上げた反動で俺の体が宙に浮いた。
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096 - ロマンス細胞さん» いえいえ!こちらこそこめんとありがとうございました!告白もありがとうございます(笑) (2020年2月13日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 096さん» 返信ありがとうございました!(´;ω;`)めっちゃ好きです←(突然) (2020年2月12日 22時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - ロマンス細胞さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!これからも頑張ります! (2020年2月12日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 最高です。これからも頑張ってください!!楽しみに読んでます。 (2020年2月12日 20時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 赤の他人さん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるように頑張りますね! (2020年2月10日 20時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2020年1月20日 21時