763話 ページ14
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『天野先生、お隣いいですか?』
トイレから戻ってきた俺は、自分のグラスを持って天野先生に声をかけた。
「え。ええ、どうぞ」
安室先生と席を代わり、彼女の横に座る。
『ふふ、俺、だいぶ回ってきちゃって』
全く、微塵も酔ってないが。
「そうなんですか?あまり飲んでないように見えましたけど、結構弱いんですね」
『実はすごく弱くて…。……俺、天野先生とゆっくりお話ししたかったんです』
体を少し、天野先生の方へ寄らせる。
『赴任初日に学校案内してもらったのが嬉しくて…。…あ、俺、おかしなこと言ってます?すみません、酔うと余計な事喋っちゃって』
「いいんですよ、もっと飲んでください」
『潰れちゃったら…責任取ってくださいね?』
覗き込むように、天野先生を見つめる。
天野先生の頬が真っ赤に染まる。
背後にいる安室先生からピリついた空気が伝わってくる。
「…いいですよ。黒瀬先生、酔うと甘えっ子になるんですね。可愛い」
口元を押えてクスクス笑う天野先生。
仕草は可愛らしい女性のものだが、男を堕としに来ている肉食系女子のオーラをまとい始めた。
『あー…でも、これ以上飲んだら、本当に迷惑かけちゃうし…そろそろ俺は帰ろうかな…』
「えー⁉黒瀬さん帰っちゃうんですか⁉」
「もうちょっといてくださいよー!」
周りの女性陣から非難の声が上がる。
『皆さんともう少し一緒にいたいんですが…翌日に引きずりやすいので俺はこれで…』
立ち上がるが、ふらついて机に手をつく――…演技をする。
『あ…。はは、だいぶ回ってきてるみたい…』
「私、タクシーで送っていきますよ。心配ですから」
狙い通り、天野先生がそう切り出してくれた。
『すみません、ありがとうございます』
天野先生の手を借りて立ち上がる。
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096 - ロマンス細胞さん» いえいえ!こちらこそこめんとありがとうございました!告白もありがとうございます(笑) (2020年2月13日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 096さん» 返信ありがとうございました!(´;ω;`)めっちゃ好きです←(突然) (2020年2月12日 22時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - ロマンス細胞さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!これからも頑張ります! (2020年2月12日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 最高です。これからも頑張ってください!!楽しみに読んでます。 (2020年2月12日 20時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 赤の他人さん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるように頑張りますね! (2020年2月10日 20時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2020年1月20日 21時