751話 ページ2
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先に帰宅した俺が簡単な料理を作っていたとき、玄関の扉が開く音がした。
『おかえり』
「ただいま」
髪も整えられ、眼鏡を外したいつもの零さんの姿。
『…ぶはっ』
あまりのギャップに思わず顔を見て吹き出してしまった。
「おい、なんだ人の顔見て」
『だってっ…!あんな根暗設定で潜入してると思わなくて…っ!』
「あの格好のほうが目立たなくていいんだよ」
『いやいや、充分目立ってるって。教師からも生徒からも、結構人気あるみたいですよ?安室センセ?』
からかい混じりにそう言うと、零さんはムッとした顔になった。
「それはお前のほうだろ。そういう作戦だから仕方がないが…職員室でも教室でも、お前の話で持ちきりだ。それに…今日、授業を見に来ただろ?そのとき……」
零さんは口ごもったようにそこまで言って目を逸らした。
『?』
「……天野先生と、どこに行ったんだ」
――……ああ、これは。
『ヤキモチだ』
口元のニヤニヤが抑えられないまま零さんを覗き込む。
「チッ」
舌打ちをされ、上着を脱いで俺から離れる零さん。
『はは、ごめんって。学校の中案内してもらってただけだよ。何かあったときにすぐ動けるように』
「休み時間のたびに、お前のところに行こうと思ったが、さすがに無理だった」
休み時間になると、生徒達がカウンセリングルームに押しかけてきてたからな…。
『しばらくは校内での情報交換は難しいだろうね』
一度料理の手を止め、零さんの背中を追いかけた。
一向にこちらを向いてくれる気配がない。
もう、零さんを不安にさせたくない。
俺も、素直にならないと…。
『零さん。俺も焼いたよ、ヤキモチ』
そう言うと、ようやくチラリとこっちを見てくれた。
『…天野先生から、安室先生は実は影で人気があるって聞いたときも…。…天野先生みたいな美人な女性に本気で言い寄られたら…零さんも好きになっちゃうんじゃな――っん!?』
言葉の途中で振り向いた零さんに腰を抱かれ、そのまま口を塞がれた。
『んっ、は…』
「この前体にたっぷり教え込んだこと、もう忘れたか」
『っ!?』
「頭はいいくせに、自分のこととなると本当に学ばないな。それとも、もう一回教え込んで欲しくて、わざと言っているのか?」
野生の獣のようにぎらつく零さんの瞳に思わず後ろに下がろうとしたが、腰を抱く手の強さによってそれは叶わなかった。
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096 - ロマンス細胞さん» いえいえ!こちらこそこめんとありがとうございました!告白もありがとうございます(笑) (2020年2月13日 13時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 096さん» 返信ありがとうございました!(´;ω;`)めっちゃ好きです←(突然) (2020年2月12日 22時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - ロマンス細胞さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!これからも頑張ります! (2020年2月12日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ロマンス細胞(プロフ) - 最高です。これからも頑張ってください!!楽しみに読んでます。 (2020年2月12日 20時) (レス) id: 3aaa867c85 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 赤の他人さん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただけるように頑張りますね! (2020年2月10日 20時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2020年1月20日 21時