愛と輪廻は交差する？ 4 ページ41
「今まで培ってきた記憶はどうだ？ みんなで一緒に笑いあって、楽しかったあの日々は来世のお前に残っているのか？
……オレとおそ松が恋人になった日の記憶は？ オレとの日々は残っているのか？」
おそ松が答えれなくなってもカラ松は続けた。
最後のカラ松の言葉を聞いておそ松は悟った。
カラ松は、怒っているのだ。馬鹿な質問をした自分を怒っているのだ。今までの日々をふいにするような発言をした自分に怒っているのだ。
(……けど、俺は今幸せになれないのならせめて来世で幸せになりたいんだよ)
おそ松は納得がいかなかった。カラ松の気持ちが理解できなかった。
自分は、来世でカラ松の性別が変わっていようと、容姿が変わっていようと、性格が変わっていようと、今のカラ松からどれほど変わっていようとまた好きになる自信があるのに。カラ松はそうじゃないのか。
カラ松は真剣な顔でおそ松を見つめ、再度同じ言葉を言う。
「もう一度聞く。それはおそ松なのか？」
「……ああ、そりゃあ今の俺じゃねえよ。
だけどさ、それは俺の魂が入ってるんだぜ。どれだけ容姿が変わっても、性格が変わっても、好みや仕草、行動が変わっても、それは俺だろ？ 記憶が無くたって、今までの日々が消えたって、もしかしたら思い出すかもしれねえじゃねえか。そしたら、精神は今の俺になるだろ？
……それの何が悪いんだよ。何がダメなんだよ」
怒りを抑えた声は低い。
おそ松の言葉を聞いたカラ松は、目を一気に細め、剣呑な顔つきに変わるとこちらも低い声で応戦した。
「……おそ松、お前、それ本気で言ってるのか？」
カラ松のその態度は、おそ松の神経を思いっきり逆なでした。何でお前が怒ってるんだ、怒りたいのはこっちだ、と。
おそ松の怒りのボルテージが着々と上がっていることに気づくことなく、カラ松は自分の意見を言った。
「オレは、今の「おそ松」が好きなんだ。オレと兄弟に生まれ、オレの兄貴で、今の姿、どうしようもないクズな今の「おそ松」を好きになったんだ。未来の、オレと他の兄弟達との記憶もないような「誰か」を好きになったんじゃない」
その最後の一言でおそ松は一気にブチ切れた。頭がぼんやりとする。すべてぶちまけちまえ、と耳の側で誰かに囁かれた気がした。
「じゃあ、お前は例えば俺がデカパン博士の薬で誰かと入れ替わったとしても、誰かの体に入った俺は好きじゃないし、誰かが入った俺の体も好きじゃないって言うんだな？」
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
