空を仰ぐ 2 ページ2
自分のお気に入りのパーフェクトファッションに身を包み、来やしないとわかっているカラ松girlを待っている。もし、本気で自分のことが好きで来たとしても、きっと自分はその誘いを断ってしまうに違いないのに、だ。どうしようもなく、無駄で、自分を貶めることしかしない行為。なのに、カラ松がやってしまうのは、それはこうしているとおそ松が来るからに他ならなかった。
今日も何時間こうしていただろうか。歩道橋の途中で立っていても、女性からは奇異の目で見られるだけで、案の定声を掛けてくる女性などいやしなかった。自分の目にフィルターをかけ、道行く女性たちが自分を好意的な目で見ているように思ってみたはいいが、実際はゴミを見るような目で見られているだけなのは百も承知だった。
(……そろそろ今日は帰るか)
何時間待っていたかはわからないが今日はこのまま待っていてもおそ松は来やしないだろう、そう結論づけ、カラ松は地面を見ていた顔を上げた。
(……あ)
カラ松は目の前の空から目を背けれなかった。
そこにあったのは、青い空が赤く染まった雲で遮られ、赤と青が交互に縦に並んだ空だった。澄み切った青い部分と、どこか優しく感じる赤に染まった雲の赤い部分。それは、赤と青がこれ以上ないほど綺麗に分断された空だった。
カラ松は目の前の空を見て、ただ、これはオレとおそ松だ、と思った。
口に出さずにはいられなくなって、どうせもう周りに人はいなくなったのだからいいだろう、と思いを呟く。
「……この空はオレとおそ松の関係と同じだ。こんなに隣りにあるのに、決して交わることは無い。……なんて不毛なんだろう」
最初は呟くように言った言葉だったが、だんだん普通の声量となっていた言葉は悲痛に満ち満ちていた。
この思いは決して報われることは無いのだということは嫌と言うほどわかっていた。自分とおそ松は兄と弟、兄弟という関係で。それでなくても、男同士というのは世間体が悪く、人に言えるものではないのに。
そのことの解決法を自分自身に問いかけても、答えは出ない。堂々巡りだった。理性で理解はしていても、感情で理解はできない。問いかけて、答えは出なくて、また問いかける。その繰り返し。まさに不毛だった。
(……笑えるよな)
いつまで自分はこんな不毛なことを続けるのだろう。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
