1ヶ月契約

1か月契約 ページ6

貴｢嬉しかったの。｣


この先の言葉は聞いたら後悔する。そう思ったけど、遮ることなんて出来なくて。


貴｢血が繋がってないってことは結婚できるって。｣




ほら。ろくな事ないじゃん。

自分から聞いておいてこう思う。


貴｢それを聞くまではずっとお兄ちゃんとして好きだったの。でも、血が繋がってないってわかってから段々、お兄ちゃんに彼女が出来たらやだなって思ったり、お兄ちゃんの好きな人は自分がいいって思ったりしたの。高校一年生からずっと西山宏太朗(・・・・・)が好きなの。引いたでしょ｣


そういうAは優しく微笑んでて、どこか泣きそうだった。


そんな辛い思いするなら、好きになんてならなければ良かったのに。
なんて。俺も一緒か。


｢ううん。気持ちは、伝えないの？｣

貴｢あ…………うん。怖くて、断られて今の関係が壊れるのが。｣

｢そっか。｣


ずるいかな？
俺にもまだチャンスはあるって思っちゃって、

｢じゃあさ、俺もずっと隠してたこと話すね｣

貴｢え、なに、｣

心配そうにこっちを見てくる。

｢この7年、ずっとAのことが好き。｣

貴｢…………は？え？ん？今の話聞いてた？｣

｢うん。聞いてたよ。Aが西山のこと好きって。
それを踏まえた上で俺はAが好き。ってことで俺とちょっとした賭け事しない？｣

貴｢か、賭け？｣

｢そう。1ヶ月、俺と付き合って。この1ヶ月で俺のこと好きにさせてみせる。もし、1ヶ月経っても西山のこと好きなら1ヶ月後のお前の誕生日に西山に自分の気持ち伝える｣

どう？って聞く。何言ってんの？って感じでポカーンとみてくる。

自分でも何言ってんの？って感じだけど、


貴｢……うん。よろしくお願いします｣

｢え、いいの？｣

貴｢自分で提案しといて何。私を惚れせてくれるんでしょ？いいよ。お兄ちゃんのこと好きでいるの辛いし、｣


切ない顔も、優しい顔も、今Aをこんな表情にさせてるのも全部西山のせいだと思ったらなんだか理不尽な怒りを西山に向けてしまう。


貴｢1ヶ月間、契約ですね｣

｢うん。成立ってことで。｣


1ヶ月後、君の想う相手が僕になってますように。







umeside終了

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