trente-neuf cafe ページ40
.
「ん! これも美味しい!」
目の前に並べられた、二人分にしては少し多めのイタリアンの料理に目を輝かせながら、私はパスタを口にした。
キノコとベーコンとほうれん草が入っているこのパスタは、ピリッと柚子胡椒が効いた後にじわっと出汁が口に広がって、とても美味しい。
「気に入って貰ったみたいで良かったです」
片手にお猪口を持った吉沢さんは、私のそんな姿を見て、少し安心したようにそう言って笑った。
「はい! まさか、イタリアンのお店だとは思いもよりませんでしたけど」
「ですよね。俺も初めて来た時は驚きました」
そういいながら、彼はくいっとお酒を飲む。
和とイタリアンを混ぜ合わせた創作料理のお店とはいえ、和風の席でイタリアンを食べつつお猪口でお酒を飲む吉沢さんの姿は少し不思議で、でもやっぱり絵になる。
「このお店によく来るんですか?」
「結構来ますね。俳優仲間とよく」
「そうなんですね!」
そんな他愛ないやり取りをしながら、私もついついテンションが上がって、お酒を飲むペースが早くなる。
甘いベリー系の味のするお酒は冷たくて、体がキュッと冷えて気持ちがいい。
「竹内さん、結構お酒飲むんですね」
醤油の和風ペンネをつつきながら、少し意外そうに言う。
「最近飲めるようになったばっかりなんですけど、他の人よりは飲めるみたいです。吉沢さんも、お酒飲まれるのが意外でした!」
「え、そうですか?」
「そうですよ! 特に日本酒って、イメージなかったです」
「どんなイメージなんですか」
「んー、ワインとかですかね」
笑いながら言うものだから、私も冗談めかして言う。
そして、二人で目を合わして笑って、また一口お酒を飲んだ。
「でも、違和感はないです」
「え?」
不思議そうに聞き取る吉沢さんに、ふふっと笑いかける。
「日本酒がびっくりするくらい似合ってて、素敵です」
思っていたよりもお酒が早く回っているのか、気分がいつもよりも少しふわふわとして気持ちがいい。
私の言葉を聞いた吉沢さんは、驚きつつも、ゆっくり手に持っていたお猪口を置いて、
「ありがとうございます」
と、嬉しそうに微笑んだ。
そんな感じで食事は続き、しっかりデザートも食べて食事を終えた。
ゆったりまったりとコーヒーを飲んで、またクスクスと笑いながら、良い空気感で食事を終えたのだった。
quarante cafe→←trente-huit cafe
535人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mifulu(プロフ) - ほわさん» ご指摘ありがとうございます! バーコードって変ですね笑 これからもよろしくお願いします。 (2019年9月10日 9時) (レス) id: 8875a6e61c (このIDを非表示/違反報告)
ほわ(プロフ) - 誤字とかじゃないんですけど、最新話のバーコードはQRコードにした方が良いと思いますよ!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2019年9月10日 0時) (レス) id: d0efce02c1 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 白うさぎさん» ありがとうございます! ゆっくりになるとは思いますが、楽しんでもらえるよう頑張ります。 (2019年7月21日 23時) (レス) id: 477f578196 (このIDを非表示/違反報告)
白うさぎ - とても面白くて、毎日楽しみにしています!更新頑張って下さい(*^^) (2019年7月21日 17時) (レス) id: 33733f1464 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 華恋さん» 初めまして(*^^*) ありがとうございます! テストが近いのでゆっくりになるとは思いますが、期待に応えられるように頑張ります! (2019年6月30日 10時) (レス) id: 80a048a51f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mifulu | 作成日時:2019年6月10日 0時