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「傍若無人な隣人」 ページ8







あれからどんな風に大倉くんの家を出てきたのかよく覚えていないけど、

もう一度目を覚ましたときには自分のベッドの中にいた。

泥のように寝ていたらしく、携帯を見ると夕方の4時になっていた。彼から二件ほど昼に電話が来ていた。電話なんてめずらしいから、ついに別れ話かもしれない。


体調はさほど変わらなくて、久しぶりに長時間続けて眠ってしまったからか風邪の作用なのかわからないけど、体がかちこちになって首や肩が石のように硬くなっているように思える。


一度起きて着替えた方がいいかもしれないと思ったけれど、動くのが気が遠くなるほど億劫で、力なく天井をながめた。



一体、私が何をしたっていうんだろう。

一体何がいけなくてこんな惨めな思いばかりしてるんだろう。



私を取り囲むこの現状に打ちのめされて起き上がることもできない自分がたまらなく、情けなかった。

子供のころの私は、大人になってこんなにも慢性的な苦しさに身悶えることになると想像できるはずもない。大人なんて、こんなもんなのか。


悔しくて、涙がじわりと出てきたけれど、


それにしても、あの男はなんだ。


と、つい昨夜再会――と呼ぶには関係が浅すぎる――したばかりのあのひとを思い出して、妙に腹が立ってきた。



それじゃなくたって昨日は散々だったのに、わざわざ追い討ちをかけるようなことを言ってくるし、

今朝だって、どういうつもりで勝手に会社を休ませたのか理解に苦しむし、去り際に更に気分が悪くなることを言い残して、私に恨みでもあるんだろうか。



やっぱり、私のひとを見る目に誤りはなかったんだ。



いくら亮の友達だからと言って、嫌なやつは嫌なやつ。ひとの気も知らないでずかずか入り込んできて、大倉くんというひとは不躾で傍若無人だ。

容姿で誤魔化せるのはそこらへんのしあわせなお嬢様方だけで、私は違う。



頭の中で吐きたいだけ暴言を吐いて、天井に向かっておおきくため息をついた。

同じマンションに住んでるなんて、憂鬱すぎる。できればこの先一生、関わりたくない。

やっぱり私は、ツイてない。いつでもそうだ。私は運命に負け続けてばかりいる。



もう一度目を閉じて、深呼吸をした時、手のひらの中にあった携帯が軽やかに音を立てた。


鈍い動きで首をひねって携帯の画面を見て私は顔をしかめる。



『具合どう?』



そのメッセージの送り主は彼でも亮でもなく、噂をすれば、の傍若無人からだった。








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蒼 夢見子(プロフ) - すぅさん» すぅ様、初めまして。コメントありがとうございます^^私には勿体無くも有難いお言葉いただけてとても嬉しいです(涙)これからも楽しんでいただけるものを書けるよう頑張ります! (2018年12月3日 11時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
すぅ(プロフ) - こんばんは。今まで読んできた小説のなかで一番素敵な物語です。これからも応援しています (2018年12月3日 0時) (レス) id: 6e6892a55b (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、こんにちは。こちらにもコメントいただけてとっても嬉しいです...(涙)この間とはすこし違ったいたずらで甘い大倉くんを書きたいなーと思い書き始めました。そう言っていただけると俄然執筆への意欲が湧いてきます!ありがとうございます^^ (2018年11月21日 10時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こんにちは!こちらのお話にもコメント失礼します。優しいんだか冷たいんだか分からない大倉くんとっても魅力的です好きです(;_;)ヒロインちゃんが幸せになれることを密かに願いながら応援しております、、、! (2018年11月21日 0時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼 夢見子 | 作成日時:2018年11月13日 22時

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