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亮と久しぶりに腰を落ち着けてしゃべったとは言っても、亮の昼休みの一時間だけだったから、私の転職の話がほとんどで終わってしまった。

沖縄の話も、結婚生活の話も、亮のことはほとんど聞かずじまいだったから亮はいくらか話し足りなそうだったけど、お昼はご馳走してくれて「また連絡する」って慌ただしく職場に戻っていった。相変わらずの、すこし癖のある歩き方で。



亮は私のことを『信頼できる女友達』だと思ってる。

じゃあ、私は一体亮のことを何者だと思っているんだろう。

私はもうとっくに亮のことを『信頼できる男友達』とは思えなくなっていた。



想いを寄せるって、そういうことだ。

ひとたび想いを寄せてしまうと、恋路が上手くいかない限り、そのひとの存在は宙ぶらりんなのだ。

好きだけど、会って話すと息が詰まるような気持ちになる。

そのひとの好きなところが、愛おしくて病まないところが、嫌い(・・)になる。愛おしいのに憎くてたまらない。


亮のことを嫌いになれたらどんなに楽だろうと考えても仕方のないことをずっと、考えた。

私はきっと、また泣きそうな不幸そうな顔をしている。大倉くんがいたら、また呆れて笑うだろうか。




『面接無事終わったよ』

夜、帰ってから大倉くんにそう連絡すると、

『緊張のしすぎとかでヘマでもするかと思ってたけど』

『無事終わったならよかった』

と携帯の向こうでにまにまと笑う大倉くんが簡単に想像できるような返事がきた。



そして、続けて送られてきたメッセージに私はちいさくため息をつく。それはすこし、喜びにも似ていた。


『今から上きーや』

『酒持って集合』


シャワーからあがって乾かしたばかりの髪の毛を無造作にまとめて、カーディガンを羽織ると冷蔵庫から出した缶ビールを持って家を出た。



「お疲れさん。」


既に屋上でひとりで晩酌をしていたらしい大倉くんは私を見ると口角をあげる。


「ありがとう。」


缶ビールを開けて大倉くんと缶同士を静かにぶつける。今日は半月に近いような形をした月が空に浮かんでいた。

ビールが喉を流れる爽快感に私はぎゅうっと目をつむって、開いた。できれば亮のことをすこしだけでも忘れていられるように。


「ヘマせんかったわりには浮かない顔しとるな。亮ちゃんにでも会うたん?」


大倉くんの目はとても、鋭い。





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蒼 夢見子(プロフ) - すぅさん» すぅ様、初めまして。コメントありがとうございます^^私には勿体無くも有難いお言葉いただけてとても嬉しいです(涙)これからも楽しんでいただけるものを書けるよう頑張ります! (2018年12月3日 11時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
すぅ(プロフ) - こんばんは。今まで読んできた小説のなかで一番素敵な物語です。これからも応援しています (2018年12月3日 0時) (レス) id: 6e6892a55b (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、こんにちは。こちらにもコメントいただけてとっても嬉しいです...(涙)この間とはすこし違ったいたずらで甘い大倉くんを書きたいなーと思い書き始めました。そう言っていただけると俄然執筆への意欲が湧いてきます!ありがとうございます^^ (2018年11月21日 10時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こんにちは!こちらのお話にもコメント失礼します。優しいんだか冷たいんだか分からない大倉くんとっても魅力的です好きです(;_;)ヒロインちゃんが幸せになれることを密かに願いながら応援しております、、、! (2018年11月21日 0時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼 夢見子 | 作成日時:2018年11月13日 22時

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