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「だいたい寄ってくるんは俺の見た目目当てやん。恋愛を自分の装飾のひとつやって思うてるやつばっか。そういう子たちとは遊ぶのにはちょうどええけど、真剣になられへん。」
吐き捨てられた大倉くんの言葉を『モテるひとの贅沢だ』と取ってしまえばそれまでだけど、私はそうは思えなかった。
「まあ、すこし前まではそうやって簡単に寄ってくる子達と遊んでるほうが楽やなって思うてたんやけど、」
大倉くんの腕の中で目を閉じていたホーリーが耳を立てて片目をうっすらと開き、そしてまたやさしい眠りへと浸かっていくように目を閉じる。
たまに風が吹いて、私は大倉くんのパーカーに隠れるみたいに、身を縮めた。
「気づいたら、めっちゃ孤独やねん。」
大倉くんは困ったように笑う。
「こうやって俺はこの先も満たされへんまま帳尻合わせだけして自分に嘘つきながら生きてくんやろうかって。それがしあわせやって錯覚してくんやろうかってたまに考えてゾッとするわ。」
大倉くんの言うことは心が痛くなるほどわかる。そう思う反面、大倉くんにしかわからない私のところからとても遠い場所にある暗闇のような気もした。
だから、返事はしないで、ただじっと大倉くんの綺麗な横顔を眺めた。
「ホーリー、おまえどう思う?」
ホーリーは今度はちゃんと耳を立てて、両目を開き大倉くんを見上げた。
大倉くんは依然、やさしい眼差しでホーリーを包むみたいに見てる。
「Aちゃんは真剣に想えるひとがおるのに頑張っても報われないし、俺は真剣に想えるひとにずっと出会われへんままやしさぁ。どっちもどっちやな。」
ホーリーには一体、どう見えているんだろう。
しあわせそうで健やかな亮と亜紗美ちゃんと、大倉くんと私はどこがどう違うのだろう。
「ホーリーのこと、このまま誘拐してみる?」
また突拍子もないことを大倉くんは聞いてきて、私は苦笑した。
「亮、ホーリーがいなくなったら死んじゃうくらい悲しむと思う。」
「どうやろ。やって亜紗美ちゃんがおるやん。」
大倉くんにそう言われて、不覚にも胸のあたりに感じた痛みに、何も言えずにいると、
「あほやな。何また勝手に傷ついてんねん。」
って、頭を小突かれた。
「お互い、しあわせになれるといいね。」
つい漏れた私の切なる本音に、
「そやな。」
ふはって笑い声と共に返事が返ってきた。
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蒼 夢見子(プロフ) - すぅさん» すぅ様、初めまして。コメントありがとうございます^^私には勿体無くも有難いお言葉いただけてとても嬉しいです(涙)これからも楽しんでいただけるものを書けるよう頑張ります! (2018年12月3日 11時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
すぅ(プロフ) - こんばんは。今まで読んできた小説のなかで一番素敵な物語です。これからも応援しています (2018年12月3日 0時) (レス) id: 6e6892a55b (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、こんにちは。こちらにもコメントいただけてとっても嬉しいです...(涙)この間とはすこし違ったいたずらで甘い大倉くんを書きたいなーと思い書き始めました。そう言っていただけると俄然執筆への意欲が湧いてきます!ありがとうございます^^ (2018年11月21日 10時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こんにちは!こちらのお話にもコメント失礼します。優しいんだか冷たいんだか分からない大倉くんとっても魅力的です好きです(;_;)ヒロインちゃんが幸せになれることを密かに願いながら応援しております、、、! (2018年11月21日 0時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼 夢見子 | 作成日時:2018年11月13日 22時