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大倉くんがくれたスーパーの袋にはしばらくは生き延びられるくらいの食料品が入ってた。


なんだか掴めないひとだと思った。

やさしいのか、そうじゃないのかよくわからない。


それでも今日は結局、会社を休んでなかったら肉体的にも精神的にももっと辛いことになってただろうし、病院にも送り迎えしてもらえて助かったから素直に感謝することにしようと思う。



袋からフルーツゼリーを出して半分ほど食べ、薬を飲んで着替えて力尽きたようにベッドに転がった。

手に持っていた携帯をひらくと彼からと亮から連絡が入ってた。


『話したいことあるんだけど近いうち会える?』と、彼から。


『大倉に連絡先教えたけど大丈夫やった?』

『ふたり同じマンションに住んでるなんて知らんかったわ』と、亮から。


彼には風邪が治ったら連絡する、私も話したいことがある、と短い返事をうって、亮には忙しくて言いそびれてた、とだけ返事をした。


どうせ風邪が治ったってまたおんなじ毎日。

おんなじより、もっと悪いかも。


休んでた間の仕事が山のように積んであるだろうからまた午前様の毎日だし、先輩や上司からの嫌味には覚悟をしておかないといけない。

彼とは別れ話――なるべくあっさり済ませたい――をしなければいけないし、別れたら私はちゃんと(・・・・)ひとりぼっちになる。

そして月末にはしあわせそうな亮と亜紗美ちゃんがホーリーを預けにやってくるのだ。


ため息なんてつき始めたら終わりがないから、冷房のタイマーをセットすると、袋の中から持ってきたペットボトルの水をひとくち飲んで電気を消した。



薄い布団だけかぶって、目を閉じる。



明日はもうすこし、良くなっているといい。

未来はもうすこし、良いことが起こるといい。


切実にそんなことを願いながら深い眠りの中に潜っていった。







「下弦の月と虫の声」→←*



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蒼 夢見子(プロフ) - すぅさん» すぅ様、初めまして。コメントありがとうございます^^私には勿体無くも有難いお言葉いただけてとても嬉しいです(涙)これからも楽しんでいただけるものを書けるよう頑張ります! (2018年12月3日 11時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
すぅ(プロフ) - こんばんは。今まで読んできた小説のなかで一番素敵な物語です。これからも応援しています (2018年12月3日 0時) (レス) id: 6e6892a55b (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、こんにちは。こちらにもコメントいただけてとっても嬉しいです...(涙)この間とはすこし違ったいたずらで甘い大倉くんを書きたいなーと思い書き始めました。そう言っていただけると俄然執筆への意欲が湧いてきます!ありがとうございます^^ (2018年11月21日 10時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こんにちは!こちらのお話にもコメント失礼します。優しいんだか冷たいんだか分からない大倉くんとっても魅力的です好きです(;_;)ヒロインちゃんが幸せになれることを密かに願いながら応援しております、、、! (2018年11月21日 0時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼 夢見子 | 作成日時:2018年11月13日 22時

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