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大倉くんは「終わったら迎えにいくからまた連絡ちょうだい」と、マンションから一番近い病院の前で私を落としてくれた。
最後の診察には間に合って、保険証を渡してからやわらかい革張りのソファに腰をかけて問診票を書く。
字を書くのすら思うように力がはいらなくてもどかしい。こんなので今日仕事に出てたら休むよりハイリスクなミスをたくさんしてたかもしれない。
大倉くんには感謝すべきなんだろうか。
頭をソファに預けてくるくる回るシーリングファンを見上げた。今日の朝から何も食べていないからかさすがに空腹を感じる。
忙しくて買い物にも行けてなかったからおそらく家には何も食べられるものがない。帰りにコンビニだけ寄ってもらえたりするかな。でも、これ以上余分な借りを作るのは嫌だな。
亮は大学生の頃、風邪をひくと必ず私に看病に来いとせがんだ。
不器用で人付き合いが苦手なくせに、人一倍寂しがりやで子供みたい。
私はあの時、私が亮のことを密かに想うように、亮も私におなじような気持ちを抱いてくれてるんじゃないかってそう思ってた。なんて滑稽なんだろう。
亮の私に対する思いは出会った時から今まで首尾一貫して『信頼できる女友達』なのだ。あるいはきっと、姉か母か、そんな風に私のことを恋愛の対象に見たことはきっと一度もない。
私って、ほんと、馬鹿みたいだ。
追いかけてくる亮への想いからなんとか逃れようと、ずっと適当な恋愛ばかりしてきた。将来性のない刹那に寂しさを埋めるためのような恋愛ばかり。
それがかえって、ダメだった。
結局寂しさを埋めるどころか穴をどんどん大きくすることにしかならなくて、最終的にいきつくのはささいなしあわせなんてすべて飲み込まれてしまうほどの巨大な孤独だ。
彼と別れたら、しばらく恋愛はやめようか。
でもそうしたら、また過去のことばっかり、亮のことばっかりうじうじと考えてしまわないだろうか。
孤独は底なし沼みたいに深い。
誰かを愛することも、愛されることも、意識が遠のいてしまうほどに難しいことだった。
回り続けるシーリングファンを眺めながら私はすこし、泣きそうになっていた。
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蒼 夢見子(プロフ) - すぅさん» すぅ様、初めまして。コメントありがとうございます^^私には勿体無くも有難いお言葉いただけてとても嬉しいです(涙)これからも楽しんでいただけるものを書けるよう頑張ります! (2018年12月3日 11時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
すぅ(プロフ) - こんばんは。今まで読んできた小説のなかで一番素敵な物語です。これからも応援しています (2018年12月3日 0時) (レス) id: 6e6892a55b (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、こんにちは。こちらにもコメントいただけてとっても嬉しいです...(涙)この間とはすこし違ったいたずらで甘い大倉くんを書きたいなーと思い書き始めました。そう言っていただけると俄然執筆への意欲が湧いてきます!ありがとうございます^^ (2018年11月21日 10時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こんにちは!こちらのお話にもコメント失礼します。優しいんだか冷たいんだか分からない大倉くんとっても魅力的です好きです(;_;)ヒロインちゃんが幸せになれることを密かに願いながら応援しております、、、! (2018年11月21日 0時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼 夢見子 | 作成日時:2018年11月13日 22時