02.高校三年生 ページ4
「今年から男子バレー部の顧問になった武田一鉄です。よろしく!」
今年度初めての部活。若い眼鏡の先生に、主将の澤村を筆頭にして各々が「よろしくお願いします!」と頭を下げて挨拶していく。
ついこの前、烏野に入学したかと思えば、もう高校三年生。
部活も、これで終わり。
「主将の澤村大地です。一年間よろしくお願いします」
「うん! ところで、この部活には何か目標などはありますか?」
武田先生がそう訊くと、部員達は目を見合わせて声を揃えて言った。
「「全国出場です!」」
そう言う皆んなを流し目で見ながら、私は武田先生の方に視線を戻す。
高一の時から澤村に誘われて潔子と一緒にマネージャーをやっているが、最近の成績はあまりよろしくない。
他校からは “ 落ちた強豪、飛べない烏 ” なんて蔑称つけられてるし。
この目標を、彼はどう思うだろうか。どう捉えるだろうか。
「なるほど、全国出場ですか! いいですね! 僕はお恥ずかしながらバレーは未経験なので技術的なことは教えられなくて……。ですが、君達が本気で全国を目指すと言うのであれば、僕は僕なりに精一杯サポートします。皆さん! 一年間頑張りましょう!」
「はい!」
頑張る、か。
頑張るだけなら誰でもできる……とか、そんなひねくれたことを考えているわけではないけれど、正直本気で全国に行けるとは思えない。
一人そんなことを考えていると、武田先生がまるで頭にハテナを浮かべているかのように口を開いた。
「今の二、三年生での部員数はマネージャー合わせて十人と聞いたのですが……今は八人しかいませんね。他二人はお休みですか?」
武田先生が言う通り、今の部員はマネージャーの私と潔子、そして、澤村、菅原、東峰、田中、西谷、縁下、木下、成田で十人。
しかし、今は八人しかこの場にいない。
「……実は、スパイカーの東峰とリベロの西谷が、春の試合で少しいざこざがあって、休部中で……」
澤村が少し気まずそうに、それでも正直に告げる。武田先生は「そうですか」と言ったあと、にっこりと笑った。
「では、これから入ってくる一年生達に加え、その二人もいつでも戻ってこれるよう、部活の雰囲気も良くしていきましょう!」
澤村は目を開いたあと、すぐに「はい」と応えた。……今までに比べて、結構良さげな先生が顧問になったかもしれない。
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昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありです! 烏野大好きです……。おまけ話みたいになるんですけど、浦塚さんはお勉強をよくしているので甘党という設定になっていて、それゆえに悩みがあんなエグいことになっています() (2021年9月3日 22時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - コメント遅れたけど、烏野メインは最高です昆布様。あと、浦塚さん.....ココアにキットカットは流石に甘すぎるのでとりあえずヤバイっす。 (2021年9月3日 22時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2021年5月4日 8時