愛を知らない王女が、愛を学ぶ物語【7】

第319話 ページ35

リベラside

「では、ここで休憩に入ります。」

2つ目の審議までが終わった。

議長の声に従い、一斉に会議場がざわつく。

休憩開始と共に多くの使用人が広間から飛び出て行った。

おそらく各国王に休憩時間に来るように言われているのだろう。

休憩時間にも休憩する暇なんてないラサゴベアは、私には何も言いつけずに会議に行ってしまった。



...丁度いい。

私もラサゴベアに構ってなんかいられない。

チラ、と時計を見ると、会議の再開まであと10分になっていた。

そろそろ...準備をしなくちゃ。


私は黙って紙コップをゴミ箱の中に捨て、ゆっくりと立ち上がった。

今会議室の中に忍び込んでいても、休憩の終わりとともにSPに追い出される。

どこかそのへんのトイレで待機しておくか...。

私は広間のドアを開け、何食わぬ顔で廊下に出た。


他の使用人や国王に見つかっては大変なので、少し遠めのトイレに向かう。

廊下を歩いていると、どんどん人気が無くなっていった。

ついさっきまで騒がしかったのに、突然誰もいなくなって一気に静かになって、少し変な気分だった。

リベラ「これで自分に集中できるわ。」

そう呟いても、私の声を聞くものは誰もいない。

私は目的としていたトイレに到着し、あたりを見回して誰もいないことを確認してから、静かに中へと入っていった。




中にはスピーカーがついており、大会議場のマイクが拾っている音が流れてくる。

まだ大会議場はざわついており、休憩時間が終わっていないことを示す。

私は自分の腕時計を見た。


...あと5分。

ゆっくりと目を閉じ、邪念を振り払えるように集中した。



何があっても引かない。

ラサゴベアやキーピング、そしてその他大勢の国王を説得し

裏clockを潰して

必ずアリオンに帰る。



そして私の魔力で、この星を安定させる...


絶対に地球になんか行かない。

私は



私の生きたいように生きる..!






「少し早いですが、皆さんお集まりなので、そろそろ始めたいと思います。」



リベラ「っ...!」

突如議長の声が聞こえてきた。

咄嗟に腕時計を見ると、残り3分になっていた。


そろそろ始まる

私の人生を決める時が

私の運命が決まる時が...





それまでざわついていた大会議場は

議長の言葉ですぐに静かになり

会議の再開を促した。



「それでは、アリナレオンバートへの対応について、議論していきます。」


私はゆっくりと立ち上がり、静かに廊下へと出ていった。

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