愛を知らない王女が、愛を学ぶ物語【7】

第318話 ページ34

リベラside

私は大会議場の隣に設けられている広間に行った。

各国の国王付きが、会議中に待機場所として使うところ。

中心にはテレビもあり、会議の様子を中継で見ることができた。


これで...私の話が出た時に...。


お茶を紙コップに注ぎ、手に持ったままテレビの近くのソファに座る。

続々と国王が集まる会議場を見ながらぼぉっとしていると、どこからか声が聞こえてきた。


「あれ...ファナッカの制服よね?」

「ってことは彼女がラサゴベア様の側近ということか。なんとまあ若いことだ。」

「今までの方はどうしたんだろうな。見慣れない顔だ。」


確かに、周りを見渡しても明らかに私が1番若い。

周りはベテラン、というような格好をした人ばかりだった。


気にしない気にしない...

今は神経を落ち着かせて気配を消すことに集中しなくちゃ...。

この後私はラサゴベアとキーピングを説得しなきゃいけないんだから...

どうにか周りの音を耳から消し、ひたすら自分に集中した。



私がここに入ってから20分ほど経つと、かなり多くの人が広間に集まっていた。

同時に、会議場にも多くの国王が集まっている。

そろそろか...。

じっとテレビを見ていると、カメラが突然ラサゴベアの顔にズームされた。

リベラ「っ...!」

「始まりましたよ!」

その声とともに続々と私が座っていたソファの周りに人が集まってきた。

それまで騒がしかった広間が静寂に包まれると、ラサゴベアの声が部屋中に響いた。


ラサ「clock加盟国王の皆さん、わざわざお集まりいただきありがとうございます。今日はclock定例総会です。議題も多く、長引くことが予想されますが、お互いよりより世界を作るために、しっかり議論してまいりましょう。」

...いつも聞くのとは違う、公用の声。

ラサゴベアが挨拶を終えて着席すると、ぱちぱちと拍手があがった。

その後は議長の紹介、議題の確認などが行われ、ついにclock総会が始まった。




...議題の中には、しっかりと「アリナレオンバートへの対応」とあった。

議題としては、3つ目にあたる。

1つ目、2つ目は支援金額や予算などの話であるため、審議、というよりほぼ確認で終わるはずだ。

ーー思っていたより、決戦の時はすぐにやってきそうねーー。




私は紙コップの中のお茶を飲み干し、一旦席を離れて飲み物を取りに行った。

リベラ「...キリト...」

彼の元に

帰らなくちゃ。


私は紙コップを持って先程まで座っていた席に戻った。

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