第312話 ページ28
リベラside
電話をかけておいて、泣きながら黙る私にキリトは動揺した。
キリト「リベラ様っ...!?大丈夫ですか!?」
私は、うん、大丈夫、とも言えないほど涙を流していた。
私の様子を見て心配したリニャーノは、近くに駆け寄って背中をさすってくれた。
もう
キリトには会えないんだ
私にいっぱい
たくさんのことを教えてくれたのに
私が初めて
初めて好きになって
...愛を教えくれたキリトに...
キリト「リベラ様...?落ち着くまで私は待っていますから。時間かけていいので、とりあえず深呼吸してください。無理はしないでくださいね。」
携帯電話の向こうから、優しい声がずっと聞こえてくる。
私は今までアリオンでとっても幸せな生活をしていたのに
それがあんまりわかってなかった
もっと噛み締めて過ごすべきだった
それももう、叶わない。
私はもう二度と
あの温かい場所には帰れない...。
私は出てくる涙を必死に止めながら、
キリトにそれを伝えた...。
リベラ「キリト...よく聞いてね。明日はclock総会なの。そこから私は、地球に幽閉されるの。だからそれを阻止すると同時に、魔力を完全復活させてこの星を安定させようと思っていたの。そして...アリオンにも帰るつもりだったの。」
キリトは、はい、はい、と相槌を打ちながら聞いてくれる。
でも、ただでさえ鋭いキリト。
私の様子と、話し方で
...今から何を告げられるかなど、キリトには容易に予測できた...。
私は嗚咽を押さえ込んで続ける。
リベラ「でもっ...私は今日までに魔力を完全復活させられなかった。ラサゴベアやキーピングに匹敵するような魔力を、取り戻せなかった...。」
キリト「はい。」
まさかこれを
キリトに伝える時が来るなんて
ファナッカに来た時は思いもしなかった。
苦しい道であることはわかってたけど
本当に失敗するなんて
本当に、二度とアリオンに帰れないなんて
私は大きく息を吸って、呼吸を整えて言った。
リベラ「私は明日、総会の決議に大人しく従って、幽閉されてくるよっ...。」
そこまで言って、私は再び泣き始めた。
携帯電話の向こうからは、ふぅ...ととても深いため息が聞こえた。
私にはわかる。
キリトもきっと今
涙を堪えているんだろう。
キリト「リベラ様...。今まで頑張ってくれて、本当にありがとうございました。アリオンは、私が必ず守ります。だから、リベラ様も地球で必ず生き延びてください。」
8人がお気に入り
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fruit(プロフ) - neruさん» こんな古くて長すぎる作品を読んでくださって、本当にありがとうございます!!番外編の件、リクエストすごくすごく嬉しいです!!もちろんお受け致します!逐一公開しようと思いますのでお気に入り登録等で通知を受け取ってくださると嬉しいです。しばしお待ちください! (2021年6月30日 14時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
neru - 凄く面白かったです!もしできたら続編・・・というより番外編を作っていただけないでしょうか?夢主が帰ってきた後と結婚した後で時間が空いているのでその間どんな感じだったのか知りたいです! (2021年6月30日 6時) (レス) id: be91a01192 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 葵 林檎さん» 素敵なコメントありがとうございます!!時間はかかっていますが少しずつ直している最中です。言い回しが変わったりバッサリカットしたりしているのでぜひ何度でも見返してみてください!ありがとうございました! (2021年2月27日 4時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
葵 林檎 - このお話、とても好きだなああぁ、と心の底の根っこから思います! 私はファンタジーがめちゃ大好きなので、もう、何度も読み返します!! 素敵なお話を作っていただきありがとうございます…! (2021年2月16日 21時) (レス) id: 2561b1222b (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 愛流鈴さん» お返事大変遅くなり申し訳ありません...!このコメントを拝読して、すごくテンションが上がっております!私自身、あまり自信がなくて作品削除も考えていたのですが、コメントを読んで、この作品は残しておこうと思うことができました。本当にありがとうございました!! (2020年9月17日 12時) (レス) id: 332baaf975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fruit | 作成日時:2018年7月1日 7時