第286話 ページ2
リベラside
リベラ「サカエ...さん...?」
突然休憩室に現れた懐かしい顔。
彼はにこやかに笑いながらドアを閉め、テーブル近づく。
手には昼ごはんを持っていた。
...今から昼休憩ってことか...。
サカエ「お久しぶりです。リベラ様が初めてファナッカにいらしたとき以来ですよね。お元気にしてましたか?」
彼は私がアリオンの非公開王女だと知っている。
実際、アリオンにも来たことがある。
私をあくまでも【一国の王女】として扱う彼の物言いに、少し戸惑った。
リベラ「リベラ様、なんてやめてください。どういう状況であれここでは私はただのヴァレットです。それに誰かがこの会話を聞いていたら大変です。」
私がそう言うと、サカエさんはああすみません、と言い、呼称をリベラさんに転換した。
お互い食事を進めながら、たわいもない話をする。
私よりも長い間ラサゴベアに仕える彼は、ファナッカの使用人事情や他国との比較などを教えてくれた。
でも...
地球の話は一切してくれない。
彼を謎に包むもの。
その元凶である地球は決して放っておける話題ではない。
サカエさんは地球の話を避けていることさえ気づかせないように器用に話を進めていく。
2人とも食事が終わり、話も終わりそうな雰囲気が出てきた。
きっと彼は、このまま地球の話はしないはずだ。
それなら...
私から切り出すしかない...。
ちら、と時計を見ると、休憩時間はあと30分ある。
あとから来たサカエさんも同様だろう。
時間はある...。
リベラ「あ、あのっ」
ごちそうさまでした、と言って立ち上がろうとしたサカエさんを、私は呼び止めた。
彼は不思議そうな顔もせず、椅子に座り直した。
サカエ「はい、なんでしょう。」
そう聞かれると、かえって緊張する。
それでも私は、口を必死に動かした。
リベラ「ちっ...地球の、話を、聞きたいなぁ...と。」
私のその言葉を聞くや否や、サカエさんは眉をひそめた。
...やはり避けていたか。
気まずそうな顔をしたまま、彼は言った。
サカエ「いい話はありませんよ。」
リベラ「...?」
いい話は、ない?
彼の故郷のはずだ。思い出なども詰まっていように。
どうしても話したくなさそうなサカエさん。
それでも私は引き下がらない。
リベラ「いい話じゃなくてもいいのでっ!...興味が、あるんです。教えていただけませんか?」
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fruit(プロフ) - neruさん» こんな古くて長すぎる作品を読んでくださって、本当にありがとうございます!!番外編の件、リクエストすごくすごく嬉しいです!!もちろんお受け致します!逐一公開しようと思いますのでお気に入り登録等で通知を受け取ってくださると嬉しいです。しばしお待ちください! (2021年6月30日 14時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
neru - 凄く面白かったです!もしできたら続編・・・というより番外編を作っていただけないでしょうか?夢主が帰ってきた後と結婚した後で時間が空いているのでその間どんな感じだったのか知りたいです! (2021年6月30日 6時) (レス) id: be91a01192 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 葵 林檎さん» 素敵なコメントありがとうございます!!時間はかかっていますが少しずつ直している最中です。言い回しが変わったりバッサリカットしたりしているのでぜひ何度でも見返してみてください!ありがとうございました! (2021年2月27日 4時) (レス) id: b2a1d0f311 (このIDを非表示/違反報告)
葵 林檎 - このお話、とても好きだなああぁ、と心の底の根っこから思います! 私はファンタジーがめちゃ大好きなので、もう、何度も読み返します!! 素敵なお話を作っていただきありがとうございます…! (2021年2月16日 21時) (レス) id: 2561b1222b (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - 愛流鈴さん» お返事大変遅くなり申し訳ありません...!このコメントを拝読して、すごくテンションが上がっております!私自身、あまり自信がなくて作品削除も考えていたのですが、コメントを読んで、この作品は残しておこうと思うことができました。本当にありがとうございました!! (2020年9月17日 12時) (レス) id: 332baaf975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fruit | 作成日時:2018年7月1日 7時