第一話 ページ1
「君たちに知らせなくてはならないことがある」
烏間先生がいつも以上に眉間に深いしわを寄せて口を開いた。朝のホームルームの直後のこの知らせは、僕らを混乱させるには十分だった。――曰く、僕らの命が狙われている、と。
「政府から君らを守るために実力者を派遣するらしい。詳しい事情は俺も知らないから、彼らに聞いてくれ、とのことだ」
目を伏せて眉間を揉む烏間先生に、ああ、苦労してるな、なんて的外れな感想を抱きながら僕らは実力者とやらが入室するであろう扉に目を向ける。しかし予想は外れ、扉の方向からは何の物音もしない。どういうことだ、と烏間先生にもう一度視線を向けようとしたその時。
「――、その隙間、もらった!」
「これ、が、本気だ!」
グラウンドから、聞きなれない声が聞こえた。
バっと全員の視線がグラウンドに集中する。そこには、明らかにヒトではない異形と様々な長さの刀を持った6人の男子がいた。
「先生、あれは……」
「……俺にもわからん、が、助太刀をしたほうがいいだろうな。少し行ってくる、君たちはここで待っていてくれ」
「その必要はありません、もう終わりました」
今度は扉の方向から声が聞こえる。人懐っこそうな笑みを浮かべた僕らと同じくらいの見た目の男の子が立っていた。彼は腰にやや短い刀を携え、頬に付着した返り血を袖で拭っている。
「お騒がせしました、椚ヶ丘中学校3年E組のみなさん。事情は追って説明しますので、まずは僕らを怖がらないでいただけますか?」
いつの間にか彼の後ろにそろっていた6人。それぞれが刀を携え、返り血をぬぐっている。僕らから漏れた殺気やら恐怖やらを敏感に感じ取ったらしい彼らは、ゆっくりと教室内に歩を進めた。
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作者名:RhAIzakNi | 作成日時:2017年2月6日 19時