赤井秀一の悪友4th【名探偵コナン】

心を鬼にするのも楽じゃない ページ26

『…そう、やっぱり彼女は証人保護プログラムを断ったのね』

「ちょっと、何でそんな平然としてるの…！保護するって息巻いてたの、あなたじゃない！あの手紙、意味なかったんじゃないの？」

『いや、何となくこうなってもおかしくないと思ってたからね。だから別に、大してショックじゃないだけ』

夜闇の邂逅から数日後、ジョディを通して灰原哀に証人保護プログラムを薦めた。一応その時に明美からの手紙も、誰からとは言わず他言無用で渡してもらった訳だが…やはりあの姉妹は、一筋縄ではなくて。そうなる事も、予想は出来ていた。

「もう…一人だけ分かったような顔しちゃって！シュウもだけど、ニーナも大概秘密主義だわ」

『あの姉妹は、そう簡単に逃げる性格じゃないわ。きっとあの手紙にも"あなたは自分らしく、信じた道を生きなさい"なんて書いてあったんじゃないかな？』

「中身、見てないのよね？何でそんなの言い切れるの？差出人は誰なのよ、あの手紙」

『人より彼女たちを間近で見てるから、何となく…って言ったらあなた納得する？』

ジョディの表情は、未だ納得いかないと語っていた。秀一の潜入時代に、私が宮野姉妹と接触していたのは知っているだろうに。…でも、私が明美を保護して手元に置いている事は上司と秀一と景光以外は知らないので、情報が足りずに推測は厳しいのだろう。

「納得出来ないし、肝心な事を話してないわ」

申し訳ないが、そうやってすぐ感情的になってボロボロ情報を喋りそうなので、教えるわけにはいかない。敵を騙すには…ってね？

『これ以上はあなたの管轄じゃない、残念だけどこの話はここで終わりよ。次の作戦もあなたに動いてもらうから、切り替えなさい』

「…分かったわ」

ジョディともそれなりに付き合いが長い。これ以上私が口を割る事はないと察したのだろう。不服そうにジョディは下がっていった。

「辛いねえ、君も」

『見てたなら助け舟出してくれても良かったんですよ…ジェイムズさん』

「私が出るとややこしくなるかと思って」

『それはそうですけどね…心が痛い…。でもあの様子だと、やはり話すわけにはいきません。どこから漏れるか分からない』

身内だからこそ、不安の種はなるべく減らしたい。可愛そうだが、心を鬼にするしかないのだ。

「…もう休むかい？疲れたろう、赤井君と一緒に上がりなさい」

『…申し訳ないけど、そうします。一応、作戦の内容はだいぶ出来てますので』

お言葉に甘えて、今日はもう休もう

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