赤井秀一の悪友4th【名探偵コナン】

夜闇のパーティ ページ23

『今宵は満月…哀れな子羊は、漆黒の狼に叛逆の狼煙を上げる』

「珍しいな…お前もやはり緊張してるのか」

『…そうね。こんなカッコつけなセリフなんて柄じゃないわ。そういう役目はあなたに任せる』

「フ…言うな。そろそろだ、準備はいいな？」

『そんなの…20年前からとっくに出来てる』

手元のライフルをもう一度確認すると、聞き慣れた車のドリフト音がした。

「始まったな…」

『上手くやってくれるといいんだけど…ジョディ』

満月の夜、海辺の倉庫街。組織に隠し、独断専行を始めたベルモットの捕獲作戦が始まった。私たちが心配しているのは、今回作戦の主体となっているジョディ。確認した限り、既に作戦に狂いが発生している。しかし今彼女にそれを伝える訳にはいかない…本ボシと対面しているから。

「…！狙撃手がいるな」

『あー、やっぱり。二人の意識が外れた時を見計らって、潰すよ。帰ったらみんな説教だわ』

夜闇を裂くような発砲音。ベルモットはやはりこちらの手を読み、狙撃手を張り込ませていたらしい。部下たちが彼女にいっぱい食わされた今、先を読んで現地に張っていた私たちが動くしかない。

「右を頼む…足を潰せ」

『了解、相棒』

タイミングを見計らい、狙撃手を密かに襲撃。容赦なく足を潰し、所持していた銃火器を取り上げた。

『ライフル、ショットガン、拳銃まで。まあよくこんなに持ってきたわね…でも残念でした』

「くそっ…」

「戦況が変わったな…そろそろ出るぞ」

『はいはい、今行く』

秀一がショットガン片手に歩き出す。私も男から拳銃を回収し、後を追った。

「OK、カルバドス…挟み打ちよ！さあ貴方愛用のそのレミントンで…FBIの子猫ちゃんを吹っ飛ばして…」

「ホー…あの男、カルバドスっていうのか…ライフルにショットガンに拳銃三丁…どこかの武器商人かと思ったぞ」

「あ、赤井秀一！？」

『もっとも、両足を折られて当分商売は出来ないでしょうけどねえ？』

「シュウ、ニーナ！」

ベルモットは驚愕の表情で私と彼を見て拳銃をこちらに向ける。反応速度は秀一の方が上だったが。

『いくら防弾着とパッドを装着してるだろうからって、容赦なく腹部狙ったわね…』

「それより見ろ！散弾で裂けた奴の顔を…。やはり、あれがあの女の変装なしの素顔ってわけだ…」

『…そうね、腹が立つくらい変わってないわ』

あの日私を子羊と呼び、母に手をかけた…その顔。

『I miss you…vermouth!(会いたかったわ…ベルモット)』

夜闇の逃走劇→←近付く狩り時

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す