赤井秀一の悪友4th【名探偵コナン】

近付く狩り時 ページ22

「そうか、見失ったか…。まあいい…まだ糸は切れていない…続けろ…」

『飲酒運転の検問を通ったって言ってたから…やっぱり気付かれて撒かれたんじゃないの。あっちの方が一枚上手ね、情けない…』

「まあそう言ってやるな…。俺も絶対的な成功なんて元から期待していない」

『酷いのはどっちよ、鬼上司…』

引き続きlittleの周辺を探っている私たち。子供達相手に強面の捜査官を張り付かせるのは些かやりすぎではないか、とも思うけれど…。

『(みんな、自分達の顔が怖いの理解してないとこあるからなあ…)』

双方可愛そうだとは思いつつも、彼らからの情報は無意味な物ではないので…私もあまり口出しはせずにいた。でも、哀ちゃんにはいつか謝って抱きしめて安心させてあげたい。私は明美から託された手紙をそっと撫でた。

ーーーー

＜ボウヤも玉子粥を食べに東都デパートに来たのー？＞

＜あ、う、うん…。で、でもいっぱい人が並んでるから止めにするよ…＞

張り込み中の秀一の車内で、彼が適当に変えたテレビチャンネルに偶然にもlittleが映し出された。ーかと思えば、車体が急激に揺れる。助手席の私は遠心力で若干身体が引っ張られた。受け身は取れたので大事ない…こんなの、任務中は日常茶飯事だ。

『ちょっと…こんな街中でドリフトなんて目立つでしょ』

「すまんな…。やっといてなんだが、普通そこは危ないと言うもんじゃないのか？」

『知っててもそんな事思ってないからどうせやるでしょ、なら言っても意味ないの…understand?』

「I see.よく分かってるじゃないか」

タバコを咥えながら、秀一が口角を上げて笑う。何年連れ添ったと思ってるの、という言葉は言わずに私もただ笑って返した。

ーーーー

結局彼らはそのデパートで事件に遭い、私と秀一は現場に近付く事は叶わず。そこに居合わせたジョディ経由で情報を得た。

『風邪引くまで弱ってたなんて、悪い事したなあ…ねえ秀一？』

「…あいつらには、もう少しバレないようにしろと言っておく」

『そうじゃないでしょ、人選考えなさいって言ってるの』

哀ちゃんの風邪、恐らくは度重なる気疲れと寒さだろう。その一因として部下達による尾行も含まれていておかしくない。後で説教だな…。

『そろそろ…彼女も仕掛けてくる頃かな』

「本当にあの作戦でいいんだな？」

『うん…何だか今回、嫌な予感がするから。少し離れた位置で全体を見てる方が、今の最適解』

腐ったリンゴの狩り時は…もうすぐ。

夜闇のパーティ→←少女と雪景色

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す