合流 ページ18
念のため変装して近付こうとしていたのだが、声をかける前に知り合いがいたので近くで様子見をしていた。その結果、対応が遅れたのだ。
『位置特定出来たよ。…でもね、ジェイムズさんから"少し様子を見てくれ"ってわざわざ、すれ違いざまに言われたからなー』
「ホー?」
『直前に会ってたのが例のlittleだったから…あの人も、あの少年の手腕を試してるのかもね。わざわざ暗号まで残してるもの』
私の言葉に秀一は車越しに歩道をチラリと見つめ、ゆっくり車を走らせた。そう、至近距離で外にいたのはlittleとその仲間たち。彼がその場を離れたという事は、もういいと判断したのか気付かれたのだろう。
「すまんな、例の彼女に気付かれた」
『あらー、流石妹…鋭いのね。とりあえず、少し距離を取って後ろについて』
例の彼女…幼い姿ではあるが、私たちは灰原哀と名乗っている少女を宮野志保だと踏んでいる。そのうち接触出来れば良いが、いかんせん組織に属していた頃面識のある秀一は警戒されているらしい。
『ここが本国なら、あんな男たちくらい一捻りなんだけどねえ…』
「我らがダディの意向だ、仕方ないさ」
『ああ…見えたね、あれにダディ乗ってるっぽい。偽造パトカーか、よく出来てるね。日本人の技術はすごいや』
「褒めてる場合か?とりあえずこのまま張り付くぞ」
『はーい、よろしく…』
ーしばらく様子を伺っていると、あっという間に本物のパトカーに偽造パトカーが囲まれ、犯人たちが捕まる。手荒ではあったが、急ブレーキの反動を利用したやり方は見事だった。
『ダディ!』
そちらにみんなの視線が集中しているうちに、解放されたジェイムズさんに目配せして助手席のドアを開けた。ようやく合流完了だ。
「ありがとう二人共、助かったよ」
「さすがですね…とっさにあんな暗号を残すとは…」
『いつ気付いたんです?彼らがニセ刑事だって』
「彼らが当たり前のように日本語で話しかけてきた時だ…。しかし驚いたよ、君があの長髪をバッサリ切るとは…」
案の定かけられた言葉に、秀一は淡々と答える。
「ゲン直しですよ…恋人にふられっぱなしなもんでね…」
『切ったの私だけどね?』
「それで?わざわざ私を呼び寄せたのだから…その恋人とはよりを戻せそうなのか?」
「ええ…後悔させてやりますよ…。私をふった事を…血の涙でね…」
本当の恋人がいる場で組織を恋人呼ばわりとは、彼の皮肉も相当だ。それくらいでいちいち気にする私でもないけど。
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リュウヤ(プロフ) - 優花さん» メッセージありがとうございます。私はまだ映画を見られていませんが、赤井さんが1番の推しです。なかなか話を書く余裕がないため一旦停止としてますが、見つけてくださってありがとうございます。励みになります! (2021年7月6日 0時) (レス) id: 8b594e4d48 (このIDを非表示/違反報告)
優花 - 緋色の弾丸を見て、ココに来ました。 赤井さんはカッコいいですよね! 詳しくはないですが、コナンの中で、一番の押しです。 更新停止なのは仕方がないですが、復帰を願っています!頑張ってください! (2021年7月4日 20時) (レス) id: ef3d2855ab (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 真由さん» メッセージありがとうございます。理想だけ詰め込んだ赤井さんです…!映画もうすぐですね、ぼちぼち構想練ろうかな〜と思いつつあります。観に行ったら正気でいられる自信がないですね…w (2021年4月14日 17時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
真由 - 丸々1日かけて一気読みしました!めちゃめちゃめちゃ好きです!!!毎シリーズ(?)赤井さんのスパダリ具合にぎゃあぎゃあ叫びました笑次の更新までにもう一周してこようと思います。(((\(≧∀≦`)/))) (2021年4月13日 20時) (レス) id: 553236276e (このIDを非表示/違反報告)
リュウヤ(プロフ) - 星の桜さん» メッセージありがとうございます。随分前の作品を見てくださってありがとうございました。そちらもコロナにはお気を付けて。気長にお待ちください! (2020年4月27日 8時) (レス) id: 441313cccd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュウヤ | 作成日時:2018年7月27日 23時