＊23 ページ23
.
廉《おわった！すぐ帰るから待っとって！》
急いでるんだろうな、と文からも伝わってくるくらいに廉らしいメッセージが届いたのを確認して、わたしは準備を再開した。
こうやって廉の帰ってくるのを待つのも悪くないな、なんて思ったりもして。
お仕事で疲れて帰ってきたりする日や、学校だけで早く帰ってきたりする日、いつでもこうやって廉を迎えたいけど、
わたしにはそれが出来ない。
廉との未来がないことはよく分かっているのに、一緒にいる時間が長くなればなるほど先を望んでしまうのだ。
『わたしってめんどくさいな〜』
言葉に出して呟けば、尚更惨めに思えてくる。
廉はどう思っているのだろうか。
終わりが決まっている、わたしたちのこの関係を。
.
｢ただいま〜〜｣
玄関の開く音と共に、心地よい廉の声が聞こえてくる。
『おかえり、れんっ！』
真顔でわたしを見つめる廉。
｢ああっ、もう！Aあかん！｣
ちゃんとコンロの火は消してきたし、廉を出迎えたくて玄関まで走ってきたのに何故か怒られる始末。
『え、』
｢なんなん、そのエプロン｣
買い物をした帰りに見かけた可愛いエプロン
欲しくなってつい手に取ってしまったけど、
やっぱり女がいると分かるようなものを持ち込んだことが、気分を悪くさせてしまったのだろうか。
『ごめん、ちゃんと持って帰るから、』
｢は？ちゃうから。そんなカッコで出迎えられたら抱きしめたくなるからあかんってこと！｣
廉は思ったことを素直に伝えてくれる。
こっちが恥ずかしくなってしまうくらいに。
｢何ニヤニヤしてんねん、｣
『嬉しいんだもん〜』
｢ええやん、新婚さんみたい｣
ほんとになれたらいいんだけどね、廉のお嫁さん。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1657人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なな - 本当に切なくて、でも、どこか幸せで温かくて、涙がとまりませんでした。だいすきです！ (2018年10月2日 4時) (
レス) id: d317cbb504 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - お互いに好きなのに別れるとゆう選択、切ないですよね…二人にとって幸せな瞬間があったってゆう事実がその後の人生にいい影響を与えていたらいいなと願ってます!! (2018年10月1日 9時) (携帯から) (レス) id: 075c6f1d28 (このIDを非表示/違反報告)
Yuka(プロフ) - 涙止まらないくらい切ない。。でも、好きな作品でした！出会えて幸せでした！また続編も楽しみにしています！ (2018年9月16日 21時) (レス) id: e3f933bc47 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - まりさん» コメントありがとうございます！今書き上げている作品が終わり次第続編を始められたらなと思っていますので楽しみにしていていただけると嬉しいです！ (2018年8月8日 23時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 卍さん» ありがとうございます！またこちらでお会いできたら嬉しいです！ (2018年8月8日 23時) (レス) id: 76e7965f2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るる
| 作成日時：2018年7月16日 20時
