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モサモサした黒髪で、
ぼんやり私をみて、
低い声でそう呟いた。
ポヤポヤして、
素直にそう言ってしまえるテヒョンが
恨めしかった。
その顔を見て、
嫌なくらい、私はテヒョンとの昔を思い出した。
やめてって言ってもいつまでも
ベタベタと私にまとわりついたり、
繋いでた手を離すと
機嫌が悪くなったり。
テヒョンは昔から
しつこい奴だったし、
よくわかんない奴だった。
今に始まったことじゃない。
なのに、私はすごくイラついた。
『そんなこと言われても、困る』
TH「うん、だからごめんって。
ごめんだけど、好きなんだって」
『なんなの、』
TH「なんで怒ってるの?」
『怒るよ、そんなの、』
TH「ふふ、」
『はぁ?なんで笑ってんの』
TH「ごめん笑」
『……、』
テヒョンにつられて、
私も笑った。
腹が立つのに笑ってしまう。
テヒョンといると、
いつもこうなる。
なんでか、最後は笑ってしまうんだ。
復讐、ってうまくいかない。
テヒョンに復讐するつもりだったのに、
今はコンビニの裏で
テヒョンと一緒にわけもわからず笑ってる。
TH「あ、見て、もう夜が明けるよ」
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作者名:やきにくさん | 作成日時:2021年2月11日 15時