笑顔の裏に隠されていたもの ページ31
ーーアレンside
ア「…っ!!」
答えるよりも先に、体が動いていた。
壊れてしまいそうな程弱々しい様子の彼女を、力強く抱きしめた。
ーーなぜ、いつもは明るい彼女が、突然このようになってしまったのか。
一体誰が、何を彼女に言ったのか。
気になることは山ほどあったが、それを尋ねるよりも何よりも、目の前の彼女を安心させなければと感じた。
ア「ーー大丈夫ですよ、A。
…誰かから言われた言葉とか、何気なく考えてしまったことで、不安になることは沢山あると思います。
…でも、これだけは忘れないでください。」
そう言いながら、彼女と自分の額を合わせて、真っ直ぐに瞳を見つめた。
ーーこれだけは、ちゃんと伝えておきたいから。
ア「誰がなんと言おうと、僕がAを好きな気持ちはいつだって変わりません。
…これだけは、絶対変わりませんから!
何があっても、自信を持っていていいんですよ。」
『アレン…くん…』
目の前の彼女の瞳には涙が浮かんでいた。
とにかく安心させたい一心で、微笑みながら涙を拭う。
ア「僕には、Aしか考えられません。」
そう告げると、Aは笑顔になって、嬉しそうに何度も頷いた。
『うん、うん…!心配する必要なんてなかったのにね、私ったら…』
彼女はすっかり落ち着いた様子で話しながら、僕の左手を握った。
『ーーずっと引きずってたんだけどね、
後悔、って言うわけじゃないけど、長期任務から教団に帰ってきてすぐ、色々ともどかしく感じてたことがあったんだ。
…私がいなかった4年間、もし私が教団に早く戻ってこれていたら…って、考えちゃうことが多かったの。
本部襲撃の話を聞いた時は特に、"あの時私がその場にいたら、何か変わっていたのかも"って考えれば考える程、自分を責めてた。
長期任務が無駄だったとは思わない。…でも、穴が空いた時間というのはあまりにも大きすぎていて…
アレンくんのことだってそう。
私は他の人達と比べても、知ってることもまだ少なくて、過ごした時間だって短くて…アレンくんの感じてきた苦しみや痛みも、話を聞いただけに過ぎない…
ーーだから、リナリーちゃんにも嫉妬したんだと思う。』
ア「!」
『…何となく目を逸らしてきた、私の中のもやもやとした悩みが、抱えきれないほど大きくなってたみたい。』
ーー彼女は、僕と出会った時からずっと、その笑顔にこれ程までの感情を隠していたのだ。
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みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時