似た者同士 ページ25
ラ「…ほんっとに、Aちゃんはいい子だよな…」
『え?そんなことな…』
ラ「ごめん。本当に悪かった。」
改めて、彼は頭を深く下げて謝った。
彼女の本心を知ったことで、自分がどれだけAを傷つけたのかが痛いほど分かった。
ずっと頭を下げたままの彼の頭を、Aは優しく微笑みながら、そっと撫でた。
彼はそれでも頭を上げようとはしない。
『…もう大丈夫だよ。ラビくんが平気で人を傷つける人じゃないことも、本当はとっても優しいことも、ちゃんと知ってる。
…今回は、お互いさまだよ。私の方こそごめんなさい。
…だから、もう顔を上げて。ラビくん』
そう言われると、彼はさり気なく顔を袖で拭って顔を上げた。
目の前には、ニッコリ微笑んだAがいる。
ラ「…Aちゃんの言ってた通り、俺はあの頃から色々と悩んでたんさ。」
ーー"何"で悩んでいたのかは、言えないのだが。
ラ「…でもその悩みも今は、自分の中で答えは出せてる。…ただ、Aちゃんと距離を置こうとしすぎていたさね。
…これからは、またいつも通り話そうな!」
『うん!じゃあ…仲直りだね、ラビくん!』
彼女から笑顔で差し出された手を、彼は笑顔で強く握った。
〜〜
ーー普段から、常に笑顔を絶やさずに過ごしているAとラビ。
その笑顔の裏には、各々の様々な感情だったり、考えだったり、悩みまでも、何もかもを隠してしまっていた。
同じエクソシストではあるものの、それぞれが抱えているもの、背負っているものは全く違うものではある。
ーーそれでも、そうした本心を決して表に出さず、笑顔に作り替えてしまう2人は似た者同士…なのかもしれない。
…そして。
ーー彼の異変に鋭く気づいたAであったが、結局彼が隠していた自分への想いには気づいていなかった。
ーーしかしそれでも、彼は構わなかった。
彼女と喧嘩をして、彼女の涙や、辛そうにしている姿を目にして、改めて気づいたのだ。
Aが心から笑顔でいてくれることこそが、自分の望みなのだ、と。
ーーそして、その笑顔を自分も陰ながら守っていきたい。
彼女の笑顔を見つめながら、彼はそう心に決めていた。
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みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時