オフィーリアの水葬 ページ35
※ソルリの件にがっつり触れています。
A「ちょ、ちょっと電話、してくる…!」
慌てた声でレッスン室から走り去っていくAちゃん。翔太くんが「テン君の浮気報道でも出た?」なんて冗談を言うほど。それから少ししてから阿部ちゃんのスマホが鳴った。
阿部「もしもし、どうしたの?え、……うん、場所どこ?………うん、うん、わかった。すぐに行くから」
佐久間「どしたの?」
阿部「あとで話す。照ちょっと」
電話をしていく内にどんどん固くなっていく阿部ちゃんの声に室内の空気も緊張していく。岩本くんを連れて足早に部屋を出ていき緊迫感の中に取り残された俺たちも只ならぬ事が起こったことを感じていた。
渡辺「A絡みか?」
深澤「…そうじゃないと思いたい」
年上2人の固い表情に新参の俺たち3人も目配せしながら息を殺す。ガチャリ、と静まり返った室内に扉が開く音が響き全員の目が集中し息を呑んだ。
阿部ちゃんと岩本くんと岩本くんに背負われたAちゃん。意識が無いのかダランと伸びた細い腕にゾッと冷たいものが走る。舘さんがマットを敷きその上にAちゃんが寝かせられる。毛布も枕も無いからそれぞれの上着を枕や毛布代わりにする。その周りにそれぞれが腰を下ろして最も事情を理解してる阿部ちゃんを見つめる。
阿部「電話は那須からで、Aが倒れたっていう内容でした。Aが電話してるんだけど尋常じゃないくらい取り乱してて、心配になってHi美の面子が見てたみたい。で、Aの電話が終わって猪狩が声掛けようとしたら気を失って俺に電話をくれました」
宮舘「頭は打ってないの?」
阿部「それは大丈夫。倒れる前に猪狩が支えてくれたから頭は打ってないって」
ラウール「病院は?」
岩本「俺と阿部ちゃんが行ったときには意識が戻ってたのよ。まぁ……錯乱してて会話は成立しなかったけど。落ち着かせてる間にまた失神したって感じ。だから、ちょっと様子見」
阿部「起きてまた気を失うなら病院行こうって。理由が分かんないけど、たぶん精神的なストレスだろうから」
目黒「那須たちは電話の内容はなにも分かんないの?」
阿部「日本語じゃなかったみたい。韓国語だと思うって。たぶん、韓国で何かがあったんだと思う。ずっとAのスマホが鳴ってるし」
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作者名:はながたり | 作成日時:2022年12月13日 23時