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咲苺side
喋れないことで、
入ったその日から
彼女は最大のターゲットになった。
…そんな彼女を
…私達は“可哀想な奴”…そうは思いながらも…
…これ以上、面倒な立場にはなりたくない
…そんな思いから、遠巻きで見ている程度だった。
『五体満足でない、親からも捨てられたお前が寝る場所と食う場所をもらっただけでもありがたく思え。』
いつものように浴びせられる罵声。
彼女は、どんな顔をしてそれを聞いているんだろう？
普段は目を逸らし、聞こえないふりをしていたのに…
何故かその日は気になって…
ふと、彼女に視線を向けた。
…
「…え？」
思わず声が出たのは…
…怯えることも…
…悲しむこともなく…
…凛とした瞳で…
…理事長をじっと見つめている彼女の姿が
…幼いながらにとても格好良くて…
心臓を鷲掴みにされた…
そんな感覚に陥ったから。
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作者名：◎まる◎
| 作成日時：2018年10月23日 20時
