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咲苺side
…
私達が育った孤児院は…
日本ではなかった。
NYの中の数ある孤児院の１つ。
日本人の私達が、何故そこにいるのかを知るのは…
私達をそこに捨てた「誰か」しか知る由もなかった。
そして…
きっと…
数ある孤児院の中でも、そこは指折りのクズが経営していたと思う。
寄付金は個人の私腹に…
子供たちは召使いのように働かされて…
学校にすらまともに行かせてもらえず…
中でも、人種の違う私達への扱いはゴミのようなものだった。
抑圧された生活の中で
子供達の中にも…
日々の鬱憤は溜まっていき…
その矛先もまた、髪や瞳や肌の色の違う私達に向けられ…
私達は幼いながらに、もう未来への希望や自分自身への価値など、見つけられない状態にいた。
…
…
そんな
灰色の毎日だったある日…
１人の少女が…
孤児院に仲間入りした。
同じ色の瞳、髪の色、肌の色。
違ったのは…
…彼女は口がきけなかったことだった。
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作者名：◎まる◎
| 作成日時：2018年10月23日 20時
