純情ブルーローズ2【佐野玲於】

言葉に ページ42

Aside








「 おはようございまーす 」



哲「 あ、A、ちょっと。」







哲さんとファミレス行った日から

数日経った頃


今日も撮影で、哲さんに手招きで呼ばれてる








A「 どうしたんですか？」


哲「 あのさ、この前のことなんだけど… 」


A「 この前…って、ああ！もう大丈夫です！」






まさかその話されると思ってなくて
恥ずかしさ、こみ上げてくる






哲「 いいから、聞くだけ聞いてくれない？」


A「 …じゃあ、はい。」






ふうって一息ついて

話し始めた哲さん


なんて、言われるんだろう






哲「 俺はさ、その男の気持ちわかんねえけど。大事なのはさ、相手の気持ちより自分の気持ちじゃねえの？自分がどうしたいか。」


A「 …自分が、どうしたいか。」


哲「 そう。それと、もうひとつ。言葉にすること。言わなくてもわかることってあるけど、逆に言わなきゃわかんないこともある。その男は他の人が好きって言ってたけど、それだって本人から聞いたわけじゃないんだろ？なら、わかんねえじゃん。」


A「 そう、ですけど…」


哲「 A、勇気出して、言葉にしてみろ。逃げないで、その男に言いたいこと全部言ってみろ。」






言いたいこと、全部



勇気出して

玲於くんに伝える






その選択肢
わたしの中には、今までなくて


多分それは逃げてたからだ






玲於くんの言葉をきくのが怖くて
本当のことになっちゃうのが、怖くて






そうなっちゃったとき


…この気持ち、どうすればいいの？


伝えずに、このまま終わるの？







本当にそれでいいの、わたし








嫌だ、だめだ


玲於くんに、好きって言わなきゃ

玲於くんが他の子のこと好きでも
わたしは玲於くんが好きって言わなきゃ






A「 哲さん、ありがとうございました。」


哲「 いーえ。頑張れよ。」






…あれ、待って





A「 哲さん 」


哲「 ん？」


A「 …わたし、あれ、たとえばなしって言いませんでしたっけ。」


哲「 あー、今どきあんなたとえばなしするやついないっしょ。気になって真希に聞いたらビンゴだし。」






うわ、バレてたんだ

真希さん、なんで言っちゃったの






…でも、ふたりに感謝しなくちゃ

本当に最高の先輩に出会えたな









.

クランクアップ→←たとえばなし

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す