純情ブルーローズ2【佐野玲於】

ありがとう ページ5

玲於side








_____カランカラン




玲於「 …Aちゃん、久しぶり」


A「 久しぶり、玲於くん 」





多分ほんとは大して久しぶりじゃない

けど俺とAちゃんからしたらかなり久々で




この店に、この席に、ほんのり香る美味しい匂いに

目の前に座るAちゃん



ああやっぱ俺にはこれだなって

その全部がそう思わせてくる






A「 急に呼び出しちゃってごめんね。」


玲於「 ううん、俺も会いたかったし。」






A「 …れおくん。」



玲於「 ん？」





A「 哲さんと真希さんに会っちゃったとき、引っ張ってってくれて、ありがとう。」



玲於「 …え？」



A「 手繋ぎたくないって、私のわがまま聞いて、手首もってくれて、ありがとう。」







なに、待って







A「 泣き止むまで、何も聞かずに、背中さすってくれて、そばにいてくれてありがとう。」



玲於「 …うん。」



A「 ごめんね、玲於くんがすごくいい人だって知ってるし、哲さんにはもう彼女がいるのに……それでもまだ、好きなんだ、哲さんのこと。」



玲於「 そっか、」







充分

もう今はこれで充分だよ



ありがとうってこんな嬉しい言葉だったっけ

こんなにも温かいきもちになれる



俺が今までやってきたことは無駄じゃない

ちょっとでもAちゃんの役に立ってる






玲於「 Aちゃん、好きだよ 」


A「 うん、ありがとう 」






たとえこの言葉が届かなくても


俺はAちゃんを好きになったこと

後悔してない









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