可笑しい ページ17
一体どれ程走ったろう。
私の周りは、夕日の赤より少し濃い色に染まっていた。
周りには多くの一軒家が建ち並び、地面に大きな影を作っていた。
一軒一軒の敷地が大きく、ガーデニング用の小さな庭が有る。
家自体は、白を基調としたシンプル且つ、清楚な雰囲気が漂う色合いをした家が並ぶ。
一見して、『高級住宅地』と言った所か。
瞬時に脳内を整理し、思考を張り巡らせる。
結論はそうなったが、流石に此処が何処かなんて分かりはしない。
人に聞けば良いが、不思議な事に、人の気配は全くと言って良い程無かった。
仕方が無いので適当に足を進め、人を探す。
辺りを見渡せば、公園やら保育園やらがちまちま見えた。
『フラワーアレンジメント教室』なんてお洒落な看板をぶら下げている家も在り、其の向かいを見れば、良い匂いが漂う生活感溢れる家だったり＿＿＿＿＿＿
こうして見ると、家庭環境がよく分かる。人物の性格等も含め。
一周回って、此の状況が楽しくなって来たかもしれない。
観察眼を鍛える訓練とでも言っておこうか。
自然と口から笑みが溢れる。
頭が可笑しいと思われるだろうか？
けれど、仕方が無い。
先程の行動のせいで、正しい感情の配分が狂ってしまっている。
『困る』が『楽しい』に置き換えられるなんて事、普段は無いのだが。
矢張り、
「私は、可笑しいのでしょうか・・・・」
問うたって、誰も居ないのだから、返る答えは有る筈無い。誰かに答えを求めるなんて、愚行もいいところだ。
＿＿＿＿＿＿けれど、答えて欲しかった。
私が解けない答えを、誰かに解いて欲しかった。
結局私は、誰かに頼らなければ、一つの問題さえ解けはしないのだ。
＿＿＿＿＿＿そんな時、人の気配を感じた。
「・・・・・・」
恐らく、敵。
ヒーローの卵でも無い私が察知出来るのは、随分間抜けな敵だと思った。
だが少しして、其れは違うと悟った。
“態と”気配を察知させているのだと。
『並の敵では無い。』
自然と手に力が籠もり、冷や汗も流れ出す。
只矢張り、私の口角は引き上げられた。
「＿＿＿＿＿＿私に何か御用でしょうか。」
辺りに私の声が木霊する。
大した声の大きさではない。
けれど、隠れている者には充分過ぎる“答え”だった様だ。
家の影から、一人の男がゆっくりと歩み出る。
「こんな状況が前にも在った気がする」
そんな事を思いながら、私は其の人物に声を掛けた。
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ベル(プロフ) - めっちゃ続きが気になります (2019年8月7日 13時) (
レス) id: efb845659a (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮桜(プロフ) - ゆっくりでいいので更新頑張ってください！！応援してます！！ (2019年7月22日 7時) (レス) id: 910bb70429 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみー - 続きが,,,気になる！ 更新待ってます! (2019年5月22日 17時) (レス) id: cdcb3e59b3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 本編更新停止似ならなければいいんじゃないですかね？ (2019年5月2日 8時) (レス) id: 57d839eeab (このIDを非表示/違反報告)
蜜(プロフ) - 凄くいいと思いますがこちらの作品がまったく進まなくなるのかと少し心配です。 (2019年5月1日 17時) (レス) id: 67d1cef2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四面楚歌 | 作成日時：2019年3月24日 13時
