要らぬモノ、在らぬモノ 5 ページ15
自分でも驚く程の低い声。
「自分にこんな声出せたのか」なんて思ってしまう位の低さ。
「・・・・・“無個性”だから、ですか？」
先程とは違う、震えた声が腹の底から押し上がる。
「＿＿＿＿っ違っ」
「＿＿＿＿＿巫山戯ないで下さい・・・！！」
オールマイトの反論の言葉を遮り、叫んだ。
数年間の、溜まりに溜まった感情が、激情に変わってしまった瞬間だった＿＿＿＿＿＿＿
「貴方に何が分かるんですか・・・・・？
死にもの狂いで努力したって、周りは何も認めてくれず、後ろ指を指すだけ
何が『日常』ですか
私からしたら、貴方達は充分『超常』なのに
＿＿＿＿＿私からしたら、貴方達は『化物』と同じなのに・・・・っ」
嗚咽が混じり、上手く言葉を紡げない。
喉に留まっている声は、決して言ってはならないのに、吐き出してしまいたい衝動に駆られる。
「“持っていない”だけで、こんなにも違うのかと、何度思った事か！」
止まって。
お願い。
取り返しが付かなくなってしまう。
お願い、私
止まって。
＿＿＿＿＿けれどそんな私の想いとは裏腹に、感情の制御はどんどん利かなくなってしまった。
「＿＿＿＿＿＿＿＿＿聞きましたよね？
『何故二年の間眠っていたのか』と。
教えて差し上げましょう。
・・・・・・二年前、私は当時の学校の屋上から“飛び降りた”んです。」
己を嘲笑う様にして話す私を見て、オールマイトは確かな口調で問うた。
「何故飛び降りたんだい？」と。
私は開き掛けた口を閉じた。
脳が無意識に、セーブを掛けているのだ。
【話す必要なんて無い。】
【余計な事は、話すな。】
【話しても意味は無い。】
【今なら間に合うから。】
【「冗談です」と笑えば良い。】
“私”が、“私”を止めていた。
＿＿＿＿＿だが、現実は何時も非情である。
「“死”という逃げ場しか残されていない人間の気持ちなんて、貴方に・・・・“貴方達”に、理解出来る訳ない・・・・・！！」
苦しさも、虚しさも、全て飲み込んで来た。
悲しさも、悔しさも、全て感じない振りをして来た。
兄さんへの“嫌悪”も、無いもの扱いして来た。
【全ては誰かを守る為】？
いいや、違う。
そんな綺麗なものじゃない。
【全ては自分を守る為】の間違いなのだ。
居もしない“誰か”を守るなんて、無理な話。
そんな当たり前の事に気が付くのに、一体どれ程の時間が流れていたのだろうか。
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ベル(プロフ) - めっちゃ続きが気になります (2019年8月7日 13時) (
レス) id: efb845659a (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮桜(プロフ) - ゆっくりでいいので更新頑張ってください！！応援してます！！ (2019年7月22日 7時) (レス) id: 910bb70429 (このIDを非表示/違反報告)
ろろみー - 続きが,,,気になる！ 更新待ってます! (2019年5月22日 17時) (レス) id: cdcb3e59b3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 本編更新停止似ならなければいいんじゃないですかね？ (2019年5月2日 8時) (レス) id: 57d839eeab (このIDを非表示/違反報告)
蜜(プロフ) - 凄くいいと思いますがこちらの作品がまったく進まなくなるのかと少し心配です。 (2019年5月1日 17時) (レス) id: 67d1cef2b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四面楚歌 | 作成日時：2019年3月24日 13時
