七話 義勇side ページ9
『こんにちは、冨岡さん』
突然のことだった
炭治郎の様子を見に蝶屋敷へ足を踏み入れた瞬間
外出着に着替えたAと鉢合わせしてしまった
正直なところ、こうしてまともに顔を合わせるのは約3ヶ月ぶりで
Aの瞳はこんな色だっただろうかと疑ってしまうほど
彼女と会うのは久々だった
『こちらになんの御用で?』
「炭治郎の様子を見に」
『そうですか』
Aはそう言って笑って
屋敷を後にしようとした
また、作り笑い
いつも笑顔で素直なAだったが
あれ以来、作り笑いばかりだ
「…戻らないのか」
自分でも、どうしてそんなことをしたのか分からなかった
行ってしまおうとする彼女を見て
気付けばすかさず、俺はAの着物の袖を掴んでいた
『…』
「俺は、お前が逃げているようにしか思えない」
もっと別の言い方があったはずだ
分かってる
だが気付いた時にはもう遅かった
Aは目に涙を溜めて俺を見つめた
が、すぐにうつむき、袖を掴んだ俺の手をはらった
『ごめんなさい、私急いでるんです』
「A」
『義勇、お願い。もうその話はよして』
Aはもう一度俺の方を見ると
今度は困った顔で笑ってみせた
『何度も言ったでしょう。私はもう戦えないの』
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作者名:まままんぼう | 作成日時:2019年12月15日 11時