ずっと一緒に*3 ページ34
*
「ぁ、もー、泣くなって」
むぎゅ、と抱きついた俺を優しく包み込んで頭をぽんぽんとなでてくれた。
「…ひろ、」
しばらくして俺が落ち着いた頃に、体を離されて顔を覗きこまれる。
「…返事、まだなんだけど、」
「ぁ、……っと、…え、と…」
突然さっきのプロポーズ、の、答えを求められて、そんなの聞かなくてもわかるだろって、
恥ずかしくなって前までのように突っぱねたくなってしまう。
「…俺とじゃ、嫌?」
俺の表情を伺うような、少し不安そうな、太輔の表情を見て、ぶんぶんっと音がしそうなほど頭を横に振った。
「…おまえが、……太輔が、いい」
自分で言った言葉が、自分の心にぐさりと刺さってきて、俺は、太輔がいい、と心の中でもう一度思った。
太輔は嬉しそうに笑うと、俺を抱きしめてくれた。
ぴた、と太輔が俺の頬に触れて、ゆっくりと目を伏せながら近づいてくる。
促されるように俺も目を閉じると、太輔のあたたかい唇が重なった。
頬に触れていた手は背中にまわってまた優しく抱きしめられ、俺も太輔の背中にまわしていた腕にそっと力を込めた。
ほんとうに、触れるだけの、キス
ちぅ、と最後に少し吸いつかれて、唇が離れた。
ふわっと抱きしめられ、太輔の胸に顔を埋める。
「…嬉しい。ひろにプロポーズできて、よかった、」
「っ、おまえ、2年前に俺がしたら、残念とか言ってたのに、」
「わかってるよ。よく、思い出してみて?」
よく?
太輔の言葉に、じっと2年前の言葉をもう一度思い出す。
"……残念だな、俺からしようと思ってたのに"
"…俺より先にプロポーズしたんだから、ちゃんと大事にしてよ?"
「…ん、」
「わかんない?」
「……あ!」
"…俺より「先に」プロポーズしたんだから、ちゃんと大事にしてよ?"
「先に、って……」
「あはは、そーだよ、俺はしないなんて一言も言ってないよ」
楽しそうな太輔の声が頭上から降ってくる。
なんだよ、恥ずかしい……
そう思っていたら、耳元に唇を寄せられて……
「…ひろ、7年前、俺が告白したときも、2年前俺に海でプロポーズしてくれたときも…そして今も、俺を選んでくれてありがとう。ひろが何度も俺を選んでくれたこと、絶対に後悔させない…愛してる、ほんとうに愛してる、…ずっと一緒にいてほしい」
太輔の気持ちが痛いほどに乗せられた言葉が流れ込んできて、また涙があふれた。
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しょこら(プロフ) - Hina.Tamaさん» Hina.Tama様、お読みいただきありがとうございました!!そう言っていただけて嬉しいです。。゚(゚´ω`゚)゚。 (2018年7月27日 0時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
Hina.Tama(プロフ) - しょこらさん初めまして。本編完結おめでとうございます!ハラハラドキドキな展開に毎日更新を楽しみにしていました。素敵なお話本当にありがとうございました!! (2018年7月27日 0時) (レス) id: ca7c7000b2 (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - 日美さん» 日美様、ありがとうございます!そのように言っていただけて本当に嬉しいです。゚(゚´ω`゚)゚。 (2018年7月27日 0時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
日美(プロフ) - 初コメ失礼します。更新お疲れさまでした。初めて更新されたときから毎回更新がとても楽しみな作品でした。とても大好きなお話です!また次のお話も楽しみにしています……!! (2018年7月26日 23時) (レス) id: 86fe79ef6e (このIDを非表示/違反報告)
しょこら(プロフ) - askiiii...xxxさん» ありがとうございます!更新頑張りますのでよろしくお願いします!⊂*`∀´⊃ (2018年7月18日 10時) (レス) id: ef72d80421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょこら | 作成日時:2018年7月13日 12時