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俺の声に気づいて顔をあげた男性は急にそわそわし始めて俯いてしまった。



「お探しの本のタイトルを教えていただければ、ご案内いたしますが。」

「んと、なにか探してるとかじゃないんですけど、なんか本読んでみようかなと思って。でも俺、今まで本とか読んでこなかったから何を読めばいいのかわからなくて。」

そう言って恥ずかしそうに頭をかく男性。

なるほど、そういうことか。



「それでしたら僕が1冊お選びしましょうか。
お客様がよろしければですが。」

「本当ですか!ぜひお願いしたいです!」


目をキラキラとさせて俺を見つめてくる男性。
一瞬 どきっとしたのは気のせいだと思いたい。



「じゃあまずはどんなジャンルにするか決めましょうか。」

「ジャンルですか、あんまり難しくないのがいいですね。推理小説とかは苦手かもしれないです。」


たぶんあまり分からないんだろうけどちゃんと答えようとしてくれているのが伝わってくる。




「それなら最初はオーソドックスに恋愛小説とかにしときましょう。あ、ハードカバーと文庫本どちらをご希望ですか?」

「店員さんは どっちがいいと思いますか?」

「そうですね、僕はハードカバーで買うことが多いんですが持ち運びが便利なのは文庫本ですかね。
でも あまり本を買われないのであれば1冊だけでも ハードカバーの本を買ってみてもいいかもしれません。」

「じゃあ ハードカバーにします!」

「僕個人の意見なのですがハードカバーだとより本を読んでるなって感じれる気がするんです。たぶん 僕だけだと思うんですけど 笑」

「そうなんですか!俺もそんなふうに感じれたらいいな〜」



「ではこちらで少しお待ちください。
何冊か選んで持ってきます。」

「よろしくお願いします。」

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作成日時:2018年6月8日 22時

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