イケメンは恋愛対象外です。～fourth～【ＳＳ】【ＯＳ】 (ページ32)

今日:6 hit、昨日:32 hit、合計:73,254 hit

～１７６～ページ32

「３８度８分････」

体温計を見て、智が眉を顰めた。

「馬鹿、ホント馬鹿。何で無茶するかなぁ？」

『うう････ごめんなさい･･･』

「････ううん。気付けなかった俺も悪いから、謝らないで」

今は治すことだけに集中して、って頭を撫でられる。

子供みたいじゃん。止めてよ恥ずかしい。

そう思いながらも、その手が気持ちよくて抵抗する気は失せてしまった。

「････ふふ。眠い？」

『ん･･･』

「それじゃ薬買ってくる。あ、お粥作るから昼には起こすよ」

『はーい････』

バタン、とドアが閉まる。

その瞬間あの温もりがなくなったせいか寂しく感じて。

智、早く帰ってこないかな。って

そればかり考えていた。

.

.

.

「････ろ、････きろ･･･」

心地いい声が呼びかけてくる。

智が帰ってきたのかな。良かった･･･。

熱、下がってるといいけど･･･。

『お、かえり････』

「起き上がらなくていい。まだしんどいでしょ」

『ん････』

「一旦熱だけ測るか･･･」

しばらくしてピピピ、と機械音が頭に響いた。

「３８度２分か･･･」とちょっと焦ったような声。

それでも下がってることは下がってる。

「ほら、お粥。････あの人みたいに上手くいかなかったけど････」

『･･･？あの人って･･･？』

「いや、なんでもない。それよりほら、食べて」

様子のおかしい智に違和感を感じながらも、一口お粥を口に含む。

････････しょっぱい。

塩を入れすぎたのか、少しだけどしょっぱい。

食べられないほどじゃないけど。

「････どう？」

『しょっぱい････でも美味しいよ』

「あ、マジ？塩入れすぎたかな････」

『智にしては珍しいね、そんな失敗するなんて』

そう言って笑うと、しばらく黙ってから「まぁな」と濁した。

････？智、一体どうしたんだろう。

っていうかさっきから顔見えないんだけど･･･。

声もマスクつけてるからかくぐもってるし。

「････智？」

あれ。デジャヴ感じる。

本当に智か怪しくなってきた。

････････まぁ、でも。

流石にあの時みたいに翔くんなわけないか。

そんな都合の良い話、現実で起こるわけないんだから。

でも、夢見るくらいならいいよね。

『････翔、くん･･･？』

返事は返ってこない。

そりゃそうか。翔くんじゃないんだもん。