紫の一匹狼 (ページ37)

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『っ…』

あれは多分…誰も忘れはしないと思う、
忘れることなんてできないと思う。

もちろんあの日よりも事前に教えられてきた俺たちは
色んな意味でなんでこの日に、ってなった。

案の定、元々叩かれることが多かったAは
酷い言われようだったし、多分俺らが知らないとこでも何かあったと思う。

「……あの時さ、ただでさえパ…ジャニーさんが亡くなってすぐで、気持ちに収集ついてなかったのにさ…」

「苦しかった、すっごく…。お客さんの顔が見てられなかった、」

多分、Aの性格上これはお客さん側の気持ちにたっての話だと思う。

ただでさえ親代わりになってくれてたジャニーさんが亡くなった1ヶ月後だったのに、そういう時でもこの子はそういう考えをする。

「私の誕生日なんて祝っちゃダメなんだ、そう思ったの」

「あの日は…お祝いごとはおろか、私が幸せな気持ちになっちゃいけないんだって、」

『A…』

「あー、ごめんね？こんな暗くてしょうもない話、笑」

「でも……慎太郎くんが1番…私の近くにいる人の中で1番この気持ち分かってくれそうだったから、笑」

…多分、ジャニーさんの命日である7月9日と
あれの誕生日である7月15日が1週間も空いてないから
だと思う、

不謹慎になってしまうのは百も承知だけど、俺は
Aの中で ″1番″ になれたことが嬉しいと思った。

A、いつもこういうの絶対俺の前では言わないから。

『俺こそごめん、全然考えずに言った』

「んーん、いつかは誰かに話したかったからスッキリした！笑」

『…A』

「んー？」

『これから先、誰がダメって言っても誰がよくないっていってもさ、……Aが、志乃Aが嫌って
言うまでは祝い続けるから』

「え、？」

『その日くらい世界で1番幸せになって欲しいし
めっちゃ笑顔でいて欲しいのよ、俺は』

「慎太郎くん…」

『もっと自分の誕生日を大事にしよーぜ？』

『多分その方がジャニーさんだってAのパパたちだって喜ぶと思うしさ！』

ね？と言うとうん、うん…と何度も小さく頷く。

Aの目からやっぱり涙なんてあの時からでないけど
俺なりのことはできたかな、なんて。

「私ね、慎太郎くんとなら誕生日、笑えるかもしれない、幸せに…なれちゃうかもしれない笑」

その言葉が聞けたから、そう思ったんだ。