happIness*2-32 ページ32
タクシーの人に、お金だけ渡してマンションに戻る。
病院にはメールで「体調不良のため今日は行けません」と伝えた、
きっとそのうち返信が来るだろう。
.
どうして何も言ってくれなかったんだろう、
記事が出たのは昨日の夕方、
前日には絶対知っていたはずだ、なのに、どうして。
.
私とは別れていることを前提に進んでいる記事は、
彼にとって都合が良かったのだろうか。
わたしより、その人の方が？
……それは、そうだ。だって、今の私はなんの役にも立っていない。
.
青いアプリを立ち上げる、
こんなことするの、久しぶりだった。
検索しなくたって、トレンドに名前を見つけた、
彼の名前の隣に、私の名前も載っている。
.
私と、彼が、終わっていることを悟っている人たち
彼が、新しい恋を見つけたことを、信じる人たち
私が、彼の傍にいないことを、喜ぶ人たち
.
ぼたぼたと涙が落ちる、止まらない
ああ、なんでこんなに悲しいんだろう
だって、薄々分かっていた、でも、そんなことはないと言い聞かせていた。
翔くんは、私のことが好きだって。
ちゃんと、傍にいてくれるって。
.
馬鹿みたいだ、あの日の「好きだよ」を、
私は信じてしまった。
あの日の「大好きだよ」も「愛してるから」も、
疑わず、信じて、しまった。
.
この恋を手放す時は、彼からだと思っていた
ずっとずっと前から。
翔くんが、別れようと言ったら、私は素直に頷いて。
それで……それで？普通の、メンバーに戻って。
.
"同級生かぁ〜このまま結婚かな"
.
あぁ、きっと、そうだろう。
私とはできなかった未来を、彼は簡単に叶えて。
私は、ちゃんと、笑って、おめでとうって。
.
涙が止まらない、息ができなくて頭が痛い。
ソファに小さく丸まって、ぎゅっと自分を抱き締めた。
ああ、私は。
きっと彼に捨てられるんだ
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