happIness*2-31 ページ31
あの後着替えて、カウンセリングのために外に出た。
声は掠れたそれしか出なくて、
でもこれを報告しなければ、とも思う。
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昨日まで出ていた音を証明するものは何もない。
だれも私の声を聞いていないし、だれもこの事を知らない。
黒川さんには報告しておけばよかったかな、と思ったって
今さらだ。
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病院に向かう途中、喉が乾いてコンビニに寄った。
いつもなら小さいマグボトルを持ってくるのに、
今日だけは忘れた。
タクシーの人に端末で打った文章を見せると、何度か頷いて了承してくれた。
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入り口から入って、雑誌コーナーを素通りして、
飲み物が並ぶ大型の陳列棚まで歩く。
ちらりと横目でみた女性誌の表紙には、
「嵐」という文字があって、5人が、ぎゅっとまとまってこちらを見ている。
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ふらりと、近づく。
それを手に取って、なんとなく、視線を動かした。
週刊誌のコーナーだった、
「嵐 櫻井翔 熱愛！」の文字を見て、息が止まる
.
撮られた？いつ？どこで？
二人で出掛けたりなんかしていない、撮られるはずがない。
翔くんからは何も聞いていない、もちろん事務所からも。
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震える手で、それを引き抜く。
ぱらぱらと捲れば大きな見出しはすぐに見つかって、
そこにある、知らない世界に目を見開いた。
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知らない女の人、翔くんと二人きり。
向かい合って、見つめあっている。
お店を出てくるその人は、白い上下のパンツスーツ。
.
ざっと記事に目を通す、
彼と、彼女が付き合っているらしい。
同級生、ふたりで、彼女のマンションへ？
.
息が止まる、どうして、なんで、
嘘かもしれない、こんなの本当のことが書いていないことは、
私がよく知っている。
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ちがう、きっと、嘘じゃない。
夜遅い帰りも、あの日呼び出された電話に応えて行ってしまったことも、
一昨日帰ってこなかったことも、昨日鳴り響いていた電話も。
ぜんぶ、ぜんぶ、ぜんぶ辻褄が合う。
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"最近の櫻井さんは「夢実はタイプじゃない」と言っているようですから……未練はきっとないんでしょうね(笑)"
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吐きそうだと、思った
くるしい、もう嫌だ、息ができなくて頭がふらふらする
結局何も買わずにそのまま出て、タクシーに乗り込んだ
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"すみません、やっぱり戻ってもらってもいいですか"
.
震える手で打ち込んだそれを見せたら、
運転手の人は一瞬不思議そうにしたけれど、
理由は聞かずにそのまま来た道を引き返してくれた。
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