happIness*2-27【↓0505更新】 ページ27
(翔side)
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「櫻井さん……」
「なに？」
「撮られたんですけど」
「はあ？」
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ある日の仕事終わり、楽屋に戻るとマネージャーからそう告げられ、
俺は思い切り眉を寄せた。
撮られた？Aと？
出掛けてすらいないのに、撮られたもクソもないだろ。
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「何を？マジで身に覚えない」
「ええ？ガッツリですよ」
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今度はマネージャーが眉を寄せる番だった。
Aと外出することなんてないから、ツーショットを撮られることはまずない。
最近の彼女は仕事を休んでいて、数日に一回通院するために外に出ているだけだ。
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「これ、櫻井さんですよね？」
「……」
「思い出しました？」
「うっわ、こっち？マジか、全然気にしてなかった」
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Aのことばかり考えていて、
彼女の症状や治療法について相談していた涼子と
まさか撮られるとは思っていなかった。
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「彼女ですか？」
「んなわけねーだろ」
「ですよね」
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俺と涼子が向き合って座って会話をしている様子が
白黒の写真で大きく載っている。
一般人の彼女の顔はボカシが入っているけど、
俺の顔は当たり前のように鮮明だ。
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「マジで普通に友達。医者なんだよ、精神科医」
「……」
「声のやつのこととか、詳しくて」
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記事の詳細は事務所に行かないとないらしい、
これから行きますと言われて、仕方なく頷いた。
撮られても本当に何もない相手だから、冷静だった。
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端末を操作すると、数時間前に受信したメッセージが
並んでいた。Aからだった。
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"今日、何時ぐらいになる？"
"話したいことがあって"
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話したいこと。なんだろうか。
本人に確認が取れていないのに、
このことが彼女に伝わっているとは考えにくい。
おそらく別件だろう、時計をみてもう寝ているかもしれないと思いながら、返信をする。
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"ごめん、今日は帰宅厳しそうです"
"話ってなに？急ぎだった？"
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これから事務所に行って確認をして……帰宅は深夜か早朝だ。
会えたら明日の朝一番に聞いてやりたい。
返信を待っていたのか、すぐに既読がついて"仕事？"と返ってくる。
少し迷って、"そうだよ"と返した。彼女はそれ以上、何も追及せずに、
"わかった、お疲れさま。がんばってね"とだけ寄越して、
会話を終わらせた。
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