happIness*2-11 ページ11
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長くなりそうなお説教が嫌で、
お腹にうずめていた顔を上げて、
彼の首に腕を掛けた後、力を入れてこちらに引き寄せた。
バランスを崩した翔くんの鼻先に自分のを寄せる。
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私のこと好き？って聞いたら、彼は頷いてくれるだろうか。
私が1番？って、聞いたら彼はなんて言うんだろうか。
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寄せた鼻先はそのままで、ちろりと目を上げて彼の目をうかがう。
ゆらりと揺れている瞳に映る私は、
自分で思うよりずっと、悲しそうだった。
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寄せた鼻先を、そっと離す。
首に掛けた腕をゆっくりと下ろした。
有体な言葉で言えば、自信がないのだ。
彼の好きな私は、私じゃないかもしれないって。
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「A？」
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掠れた声が、私を呼ぶ。
なんで、私はあなたの名前を呼ぶことさえできないんだろう。
どうして、好きだよって、たったそれだけも伝えることができないんだろう。
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ぎゅ、と掌を握りしめる私に気づいて、
彼は少し目を細めた後、
ふっと立ち上がり、気づいたら私は抱えられていた。
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一瞬の出来事に驚いて、顔を見たら、なに？と言われた。
この後起きるであろうことくらい、私にだって分かった。
本当に？と思った。私は、声が出ないのに。
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そっとベッドの上に降ろされる。
馬鹿みたいに心臓の音が早い、
私の顔の横に手をついて、見下ろす彼が瞬きをして、
もしかしたら私の中の音が、彼に聞こえてるんじゃないかとすら思った。
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額からそっと手が上って、
そのまま髪の毛が撫でられる。まるで愛しいものに触れるみたいなそれに、
息ができなくなって、気づいたら視界が滲んでいた。
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顔中に落ちて来るキスに、ぎゅ、と目を閉じる。
目の端から、少しだけ涙が溢れた。
はふ、と息を吐く。彼が、小さく笑った気がして、目を開けた。
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「心臓、すごい」
「、」
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ふ、と子どもを見るみたいな目で笑われて、
きり、と胸が痛くなる。
触れるのも、触れられるのも、同じだけの時間が空いているはずなのに、
ドキドキしているのも、緊張しているのも、大好きだという気持ちが溢れているのも、
私だけなのかもしれないと思ったら、曖昧に笑ってみるしかなかった。
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