本当の意味での反逆 ページ8
和瑠子が三角巾に髪の毛をしまわなかったことによって生まれた、悲しきモンスター、和瑠子の髪混入味噌汁を、苦い思いで啜ったA。
あの後も淡々と授業は進んでいき、すぐに家庭科の時間が終わった。気づくと六時間目が始まっていて、そしてすぐに終わっていた。
そして到来する放課後。本来なら解放感で幸せに満ちるような時間。
しかし、あの味噌汁を飲んだときから……そして、スーパー☆カンチョーをすんでで回避されたときから、何とも言えない、煮え切らない感情が、Aの葵の中に満ちてしまっていた。
A(回避されたの、ショックだな……。放課後になって、もう一度スーパー☆カンチョーをかけようと思ってたのに、和瑠子ちゃん、どっか行っちゃったし。あの味噌汁、髪の毛さえ入ってなかったら美味しかったのに。あのとき、もっとしっかり注意しておけば良かった)
Aは、どこか切ない表情で、空を見上げた。
A「……今度から、嫌なことは嫌って、言えるように頑張ろ」
そう言うと、また俯いて、とぼとぼ歩き出した。
そして、その瞬間。
「……ねえ」
「っ!」
Aは、背後から、誰か……いや、和瑠子に話しかけられた。
この声は、どう考えても和瑠子だ。
思わず振り向くA。
和瑠子「A、今日……太郎君に何かそそのかした?」
A「……っえ?」
驚きのあまり、そんな気の抜けた声しか出せなかった。
和瑠子「今日ね、太郎君、貴方のことを『この間、俺が落としたハンカチを拾ってくれたんだ。優しいよな』とか言ってたのよ。……っはあ、本当にありえない。良い? 太郎君はね! 私の好きな人なの! だから、絶対に媚び売らないでっ!! わかった!?」
A「っ!」
思わず目が丸くなる。いつもなら「う、うん。ごめん」などと、気弱な返事をしてしまうところだった。現に、その気弱な返事が、喉の辺りまで出かかっていた。
しかし、その弱い自分を、力づくで噛み殺す。
そして、自分の気持ちを込めて、全力でこう返した。
A「……媚び売ってるつもりなんて!! ないっ!!!!!」
いつもとは違って、はっきり自我を持って抵抗したAに驚いたのか、少し後退りする和瑠子。
和瑠子「……っもう良い!! そのかわり、明日!! 絶対に後悔させてやるから。覚悟しといてよっ!!」
そのまま、急いで反対方向に逃げていく和瑠子。
その様子を見たAは呆然としつつ、立ち尽くしていた。
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甘草リコ - こんな駄作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします。10月より新作品を更新する予定ですので、気長に待っていただければと思います。よろしくお願いいたします。 (2022年9月23日 1時) (レス) id: 95ef1aa62b (このIDを非表示/違反報告)
甘草リコ - 皆さん、大変申し訳ないのですが、パスワードを忘れてしまい更新不可となってしまいました。見てくださった方々には大変申し訳ございません。次こそ、皆さんに素晴らしい作品を届けられるよう頑張っていきたいと思います。 (2022年9月23日 1時) (レス) id: 95ef1aa62b (このIDを非表示/違反報告)
甘草リコ - むつさん» あああ!! 返信遅れてごめんなさい!! いじめっ子に浣腸……卒業するときにいつかやってやりたいと考えていまs((( ゆっくりやすみます。あと誤字の指摘ありがとうございます!!!!!! (2022年6月21日 21時) (レス) id: b10498da77 (このIDを非表示/違反報告)
むつ - はじめまして!作者さんをいじめる人なんて、浣腸s……((すみませんでした。主人公ちゃんみたいにかっこよく言い返したいなと思っても、現実ではなかなかできませんよね……。ゆっくり休んでください!あと、「心」が「葵」に変換されちゃってるかな?と思います! (2022年6月14日 19時) (レス) @page12 id: 7d80cfa994 (このIDを非表示/違反報告)
甘草リコ - なずなさん» なずなさん……! ありがとうございます。本当に嬉しいです。いじめは本当に消滅してほしいですよね。いつか帰ってきます!! 絶対!! 本当に見ていてくれてありがとうございました。 (2022年6月10日 22時) (レス) @page12 id: 95ef1aa62b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘草リコ | 作成日時:2022年5月3日 20時