拒絶【テラ】(リクエスト) ページ48
一人でどこかの世界を歩いていた。
心の中に渦巻く錘の様な感情。それは後悔でもあり、ゼアノートに対する底知れない怒りだ。
俺は己の未熟な面につけ込まれ、結局マスターを討ってしまった。
見通しが立たず、かといって今更引き下がらなくなったこの状況。
悩むあまりに痛む頭を、唇を噛み締めて気にしないようにして、足だけを進める。
すると、背後からある声が聞こえた。
「テラ！」
俺を呼んだ声。それは聞き間違える筈のない、あの子のもの。
今、誰よりも会いたくなかったあの子の声だった。
「……A？」
足を止めて振り返ってみれば、やはりこちらに駆け寄ってきたAの姿がそこにある。
「や、やっと見つけた……！」
俺の前で立ち止まるなり、乱れた息を整えたその子。いつも通りの柔らかな笑顔をこちらに向けるAに、なぜか背筋が震えた。
「どうしてここが分かったんだ？」
「テラとの繋がりを辿ってきたの。
ねぇ、任務は止めて一緒に帰ろう？ このままじゃ駄目だよ」
そう言って俺の手を取ろうとするA。
「……ッ！」
「え……」
しかし、なぜだろう。
その指が俺の掌に触れた瞬間、反射的に自らの手を引っ込めてしまった。
まるで拒絶するかのように。
自分でもなぜこんな事をしたのか分からない……いや、本当は理解している。だが、認めたくなかったんだ。
「……っすまない！」
今の俺では顔を合わせられない。今の俺ではきっとAを傷付けてしまうから。
「テラ？ どこ行くの？」
踵を返して、また俺は歩き始める。
突然の俺の行動に、困惑した声色でその子は後ろを追走してきた。
ああ、来るな。
俺の名前を呼ばないでくれ。
嫌いな訳ではない。寧ろこれ以上ない程に愛している。そう、昔から愛し続けていた。
だからこそお前の事を傷付けたくないんだ。悲しませたくないんだ。
「俺はAの側にはいられない。
そんな資格は今の俺には無いんだ」
「……っ違う！ 資格とか、そんなの関係ないの！」
俺の発言に珍しく、その子は怒鳴る様に声を張る。
いくら引き離す言葉を掛けようが、行動をしようが、Aは食い下がる気は無いらしい。
「……A、頼む」
それならば、これで終わらせてしまおう。
「これ以上俺に関わらないでくれ。
Aにだけは幸せになって欲しいんだ」
歯を、音が鳴る程にくいしばる。
そして、キーブレードを握り締めれば、忽ちそれをその子に振り下ろした。
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レフト(プロフ) - ご満足頂けたようで何よりです。ソラさんもわざわざこのような小説にリクエストして下さり、誠に有難うございました。 (2019年5月27日 22時) (
レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！ありがとうございました (2019年5月27日 5時) (レス) id: 788aead105 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - ムスメ3さん» 今までのご閲覧、誠に有難うございます。ムスメ3さんから頂いた沢山のリクエストは非常に捗りました。 (2019年5月27日 1時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - すごい面白かったです！完走おめでとうございます！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - いちごみるくさん» 四ヶ月という時間を掛けて漸く完結致しましたが、初期の方から見て下さったいちごみるくさんには感謝しきれません。今までご閲覧頂き、本当に有難うございました。 (2019年5月26日 13時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェトルクス | 作成日時：2019年1月25日 0時
