痛みを治して【ゼクシオン】(リクエスト) ページ46
「恋人とは何たるか、僕が教えてあげます」
首を傾げるその子に、僕はそう告げる。
心が無いながらもAを好きになった僕。
失恋覚悟で告白すると、意外にもその子は了承した。
しかし「僕と付き合ってくれ」と頼み、「別に良いが、何をだ」と訊いてくる当たり、意味は解っていないのだろう。
好きです、と伝えてもその子は頭を傾げるばかり。
余りに進展しない状況に、次第にノーバディ同士の恋は寧ろここから始めた方が良い、とそんな事を思う様になり、僕は冒頭の言葉をAに伝えたのだ。
はて、今はどうだ……ですか？
……すぐに分かりますよ。
「A」
「何だ？」
不機嫌気味に話しかけた僕に、物珍しそうにこちらを見たA。
相変わらず自覚無しの僕の可愛い恋人です、はい。
……閑話休題、最近僕には数多くの悩みがある。
それは勿論Aの事。
その所為なのか知らないが、頭痛だとか、吐き気だとか、そんなものにまで襲われる様になっていた。
「……無断で帰りを遅くしましたね。
また、あの三人とつるんでいたんですか？」
「ああ、そうだ……？ 何かあったのか」
……ほら、何もわかっちゃいない。
痛んでくる頭に、僕は顔を顰める。
___正直、もう我慢ならなかった。
「……っ！？」
「来なさい」
Aの腕を掴み、闇の回廊を開く。
そして、当惑するその子を半ば無理矢理引っ張って進んで行くと、辿り着いたのは僕の個室。
僕はベッドのある方向にAを力に任せて放った。
「きゃっ……何なんだ、突然！」
ぼすんっと音を立ててそのまま尻餅をついたAは、こちらを見上げては睨みつけてくる。
それに構わず、僕はその子の両腕を握り締めるなり、後ろへと押し倒した。
「は、離せ！」
「聞いてください、A」
いくら強くても、両手を使えなければAだってただの女の子。僕には単純な力で勝てやしない。
「僕は貴女の事が好きだ。
それはそれはもう、嫉妬で心がごちゃごちゃに混ざるくらいに」
本当はこんな事したくなかった。
しかしながら、僕の精神は思ったよりも限界に到達していた様で。
「僕の痛みを治められるのはAだ。
けれども、僕の痛みを作り出す原因もA」
その子の体温を直に感じれば、眩んで倒れそうな程の頭痛だって、血反吐まで吐き出しそうな嘔吐感だって、綺麗さっぱり無くなるんだ。
「僕のずっと側にいて下さい。
片時も離れないで下さい。
僕には貴女が必要なんだ___」
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レフト(プロフ) - ご満足頂けたようで何よりです。ソラさんもわざわざこのような小説にリクエストして下さり、誠に有難うございました。 (2019年5月27日 22時) (
レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！ありがとうございました (2019年5月27日 5時) (レス) id: 788aead105 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - ムスメ3さん» 今までのご閲覧、誠に有難うございます。ムスメ3さんから頂いた沢山のリクエストは非常に捗りました。 (2019年5月27日 1時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - すごい面白かったです！完走おめでとうございます！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - いちごみるくさん» 四ヶ月という時間を掛けて漸く完結致しましたが、初期の方から見て下さったいちごみるくさんには感謝しきれません。今までご閲覧頂き、本当に有難うございました。 (2019年5月26日 13時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェトルクス | 作成日時：2019年1月25日 0時
