最大の誤算【ゼムナス】(リクエスト) ページ39
___目覚めたあの子を機関に入れさせ、早三ヶ月が経ったか。
「……遅い」
私はいつもの円卓にて、あの子の帰還を粛然として待ち受けていた。
しかし、何を長引かせているのか規定の時間を過ぎれど、ここに来る気配が一向に無い。
……またしてもあの子の身に面倒な事が起こったのかと考えると、溜息を吐きたい気分になった。
思えば始めはそこからだったな。
「顔を隠しておけ」と、指示をしておいたのだ。
されど、その一週間後には他の機関員に悪戯にフードを外された模様で、顔を晒したままここにやって来たAがいた。
それ以外にも……同行させている機関員と逸れる、何かを庇い怪我を負う、記憶が不安定な為に突然気を失う。
目を離す度にこうもなると、流石の私であろうが今回の考えは失策だと思えた。
「如何したものか」
私は珍しくじっくりと悩み続ける。
計画は他の計画と並行で進行させるもの。
一つの策を破られようものなら、またそこに代わりを置けば良い。
しかしながら、もしもあの子が消え、レプリカやデータの心で再び作り直そうとも、出来たそれはAでは無い。
私の愛しているあの子の代わりなど、何一つ存在しない。
だからこそ、欠けさせる訳にはいかないのだ。
「ゼムナス、来たぞ」
長い事思考を巡らしていたのだろうか。
気がつけば、闇の回廊を通じてAは円卓の中心へと訪れていて、此方を見上げていた。
ひとまず私が来い、と合図を送ると、ワープしては向かい合う様に私の膝に座るA。
何か異常は無いかと一瞥するが、特に目立つものは無いと判り、私はその子に問う。
「今日は一段と遅かったが」
「……別に、任務が長引いただけだ」
すると、肩を揺らしては言ったAは、明らかに何かを隠そうとしている。
……私に隠し事をしようとは。
その子の様子に、少し苛立ちに似た何かを感じた私は、Aの腕を掴み上げると無理矢理視線をこちらに合わせた。
「報告は義務だ、A。
いつも通り、洗いざらい全てを話せ」
「……っ……わかった、から……！」
今日の任務の同行者は……ロクサスか。
ならば、せいぜい寄り道をしたのであろう。
こうも私の言う事を聞かなくなるのは些か誤算だった。やはりあの場所に留めておいた方が良かったな。
……果たして、今からでも間に合うか。
その子の報告に耳を傾けながらも、私はそんな事を考えていた。
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レフト(プロフ) - ご満足頂けたようで何よりです。ソラさんもわざわざこのような小説にリクエストして下さり、誠に有難うございました。 (2019年5月27日 22時) (
レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！ありがとうございました (2019年5月27日 5時) (レス) id: 788aead105 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - ムスメ3さん» 今までのご閲覧、誠に有難うございます。ムスメ3さんから頂いた沢山のリクエストは非常に捗りました。 (2019年5月27日 1時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - すごい面白かったです！完走おめでとうございます！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
レフト(プロフ) - いちごみるくさん» 四ヶ月という時間を掛けて漸く完結致しましたが、初期の方から見て下さったいちごみるくさんには感謝しきれません。今までご閲覧頂き、本当に有難うございました。 (2019年5月26日 13時) (レス) id: 472b62e3a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェトルクス | 作成日時：2019年1月25日 0時
